バンダイナムコグループのBANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、ロジパルエクスプレス、バンダイナムコホールディングスの4社は、機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」のランナーを回収し、“世界初”となる「ケミカルリサイクル」によるプラモデルの製品化を目指す「ガンプラリサイクルプロジェクト」をスタートさせた。
バンダイナムコグループのBANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、ロジパルエクスプレス、バンダイナムコホールディングスの4社は2021年4月1日、BANDAI SPIRITSが生産販売する「機動戦士ガンダムシリーズ」のプラモデル「ガンプラ」のランナー(プラモデルの枠部分)を回収し、「世界初」(同グループ)となる「ケミカルリサイクル」によるプラモデルの製品化を目指す「ガンプラリサイクルプロジェクト」をスタートさせた。全国のガンプラファンからランナーを回収し、各種リサイクルにつなげることで循環型社会の形成に貢献する。
リサイクル回収BOXの設置店舗で集められたランナーは、ガンプラの生産工場である「バンダイホビーセンター」(静岡県静岡市)の生産工程で排出された廃棄プラスチック材と合わせて、一部をケミカルリサイクルの実現に向けた実証実験用の材料として再生し、残りを「マテリアルリサイクル」および「サーマルリサイクル」に活用する。
同プロジェクトにおけるケミカルリサイクルの取り組みでは、代表的なプラモデル素材であるポリスチレン(PS)のランナーを、化学的処理などにより熱分解して原料のスチレンモノマーに戻し、新しい樹脂素材として再生して再度プラモデル製品に活用することを目指す。
これまでも使用済みプラスチックを粉砕、溶融、固形化し、ペレット樹脂として、再生材使用キット「エコプラ」に活用する取り組み(マテリアルリサイクル)が行われてきたが、再生後の素材の強度や色の再現性などの面で課題があり、利用範囲が限定的であった。今回取り組みを開始するケミカルリサイクル技術を活用すれば、PSの原料であるスチレンモノマーに戻すことができるため、新品のプラスチック材として幅広い商品への適用が可能になるという。
現在、エコプラ用の再生樹脂の生産に用いられているマテリアルリサイクルは、前述の通り、異なる色のプラスチックを粉砕、溶融、固形化し、ペレット樹脂として再利用するため、バージン材(新品のプラスチック)のような色の再現が難しく、強度面でも通常のPSに比べて弱いという課題がある。今回のプロジェクトでは、こうしたマテリアルリサイクルの従来課題を踏まえつつ、顧客が楽しめる商品として再生樹脂をどう活用していくかについて研究する予定だとする。
サーマルリサイクルの取り組みでは、バンダイホビーセンターの生産工程で排出された廃棄プラスチック材とリサイクル回収BOXで集められたランナーのうち、ケミカルリサイクルおよびマテリアルリサイクルで使用されなかった分を、パートナーであるJ&T環境に引き渡し、焼却時に発生した熱エネルギーを回収して発電(電力転換)。そして、その発電された電力をJ&T環境のグループ会社であるアーバンエナジーが買い取り、バンダイホビーセンターへ電力供給する。アーバンエナジーでは、廃棄物の発生元施設へ電力供給する際、廃棄物量に応じて電力料金を割り引くサービス「創電割」を展開している。バンダイホビーセンターも廃棄プラスチック材と回収したランナーの焼却によって発電された電力分だけ、電気料金の割引を受ける。
既に全国複数箇所にリサイクル回収BOXが設置されているが、将来的には全国の「namco」をはじめとするバンダイナムコアミューズメントの対象店舗約190拠点にリサイクル回収BOXを設置し、全国のガンプラファンからランナーの回収を受け付けるとしている。
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