EMO Hannover 2023では前回に引き続き、ドイツを中心に規格化を推進している工作機械やロボットなどのインタフェース「umati(universal machine technology interface)」を活用したデモンストレーションも披露する。工作機械などに貼られたステッカーのQRコードを読み込んだり、リンク先に移動したりすると、その工作機械の稼働状況が確認できる他、https://umati.app/では接続している機械を一覧できる。
VDW Research InstituteのマネージングディレクターでVDW Research and Technology DepartmentのDr. アレクサンダー・ブルース(Alexander Broos)氏は「データはビジネスモデルを変え、透明性を高め、無駄をなくしてサステナビリティに貢献することができる。今回、EMO Hannover 2023ではビジネスの将来、生産活動におけるサステナビリティの将来、コネクティビティの将来(Future of Business, Future of Sustainability in Production, Future of Connectivity)の3つに焦点を当てているが、umatiのようなイニシアチブを通してこそ、この3つの要素を達成できる」と強調する。
さらに、ブルース氏は「デジタル化はコネクティビティなくしては達成できない。機械同士はそのままでは話をすることができないが、OPC UAという共通言語を通じてコミュニケーションが取れるようになる。OPC UAはコミュニケーションフレームワークであり、umatiのような同じ言語、辞書を用いることでお互いにつながることができる」と語る。
umatiは通信プロトコルとしてOPC UAを採用。既にumatiのパートナー企業は300社以上に広がり、その半数はドイツ国外の企業となっている。「標準化を行うだけではなく、それが実際に運用されることも重要だ」(ブルース氏)。
また、ブルース氏は欧州で進むManufacturing Xを例に示しながら、「Manufacturing Xはいわば連邦制のデータスペースを設け、自分のデータの主権を保ちながら、そのデータをシェアすることができる仕組みだ。データは新たな石油、新たな金であるともいわれている。ただ、データを活用するためには、データにアクセスし、シェアする必要がある」と話す。
出展企業による出展内容のアピールなども行われた。オークマはEMO Hannover 2023に合わせて、2022年発表の新世代CNC「OSP-P500」の欧州展開を開始する。約10年ぶりの刷新となったCNCで、機械搭載のCNCとオフィスのPCの2つで高度なシミュレーションが可能になっている。新たなハードウェアの搭載とソフトウェア制御の最適化により、一般部品加工における加工中の非切削時間削減にも成功している。
近年はセキュリティ対策も大きな関心の1つとなっており、オークマ FAシステム本部 ソフトウェア技術部 LMプロジェクトの植松邦成氏は「われわれはセキュリティに関する国際規格『IEC 62443-4-1』の認証を取得し、OSP-P500はそこで認められた開発プロセスに則って作られた制御装置として『IEC 62443-4-2』の規格要件に沿った機能の開発に取り組んでいる。生産性の高さやデジタルツインに加え、そういったセキュリティ対策もアピールしていきたい」と話す。
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