コロナ禍後のEMO Hannoverは工作機械の接続性など焦点、現地会見に各国報道陣参加EMOハノーバー 2023(1/2 ページ)

VDW(ドイツ工作機械工業会)は2023年9月に開かれる国際金属加工見本市「EMO Hannover 2023」に向けた記者会見をフランクフルトで開催した。

» 2023年07月10日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]
100年以上前に建てられた工場を再利用したクラシックカーの展示施設「Klassikstadt」が会場となった

 VDW(ドイツ工作機械工業会)は2023年7月5日、同年9月に開かれる国際金属加工見本市「EMO Hannover 2023」(2023年9月18〜23日、ハノーバー国際見本市場)に向けた記者会見をフランクフルトで開催した。

 EMOはドイツのハノーバーとイタリアのミラノで交互に開催される金属加工などを中心とした国際的な展示会だ。前回、ハノーバーで開かれた2019年は日本をはじめ47カ国から2211社が出展し、期間中に11万6706人が来場した。イタリアのミラノでまだコロナ禍も明けきらぬ2021年に開催された時も約700社が出展、91カ国から約6万人が来場したという。EMO Hannover 2023には2023年7月4日時点でドイツをはじめ42カ国から既に1713社が出展を登録し、日本企業も70社が出展予定だ。

来場者と出展企業がテーマを持ち寄り会場で対話を

VDWのDr. ヴィルフリート・シェーファー氏[クリックで拡大]

 VDW エグゼクティブディレクターのDr. ヴィルフリート・シェーファー(Wilfried Schafer)氏は「出展者だけでなく来場者もぜひ新たなテーマを会場に持ち寄り、互いに対話してほしい。早い段階で情報を収集し、未来を見据えた投資計画を作り、判断していただきたい。EMOはバリューチェーンを全て網羅しており、さまざまなメーカーの機械、設備を比較することで、トレンドをつかみ、投資判断の基準にすることができる」と呼びかける。

 例年はハノーバーで行っていた事前記者会見をフランクフルトで今回開催した理由としては、フランクフルトは外国の報道陣が直行便で来やすいことなどを挙げた。

 VDW エグゼクティブディレクターのマルクス・へーリング(Markus Heering)氏も「EMOはイノベーションプラットフォームだ。この場に集うことで、国際競争における存在感を示すことができる。国際的なネットワーキングも可能になり、さまざまなメーカーと知見を共有できる。ステークホルダーと将来の可能性について議論し、立ち位置を見つけることが大切だ」と話す。

VDWのDr. マルクス・へーリング氏[クリックで拡大]

 DX(デジタルトランスフォーメーション)だけでなく、コネクティビティやサステナビリティもモノづくりの現場における大きなトレンドになりつつある。

 ゲーリング氏はDXに関して「デジタル化によって新たなビジネスモデルが生まれる。さらに企業は国際的になり、職場や働き方が変わる。ドイツだけではなく世界中で技術者の確保が難しくなっている。デジタル化を通して職場を変えることで、より長く働きやすい現場を作ることもトピックだ」と強調する。

 シェーファー氏はサステナビリティについて「欧州ではさまざまな規制が存在するが、規制には報告義務が生じる。欧州だけだなく世界中でサステナビリティの重要性が高まっている。サステナビリティに関するデータを集め、提出しなければならなくなる。出展社、来場者にとって重要なトピックであり、製造現場にとってどういう意味を持つのか考える必要がある」と述べる。

VDWのシェーファー氏(左端)とへーリング氏(右端)[クリックで拡大]

 50社ほどのスタートアップ企業の出展も見込まれている。「若い企業に参画してもらうことはその産業にとって非常に重要だ。新しいビジネスモデルが生まれ、産業が活性化し、発展していく。歴史ある企業にとっても、スタートアップ企業にとっても双方に学びのある、非常に有益な機会となる」(へーリング氏)。

 シェーファー氏は「モノづくりから若者が離れていっている」と指摘。6000人の学生を会場に招き、モノづくり現場で働く魅力を伝えるとしている。

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