欧州工作機械展「EMO」がベンチャーのデジタル出展に対応、「umati」のデモも実施工作機械(1/2 ページ)

International Linkageとドイツメッセ日本代表は2023年2月16日、ドイツのハノーバーで開催される国際金属加工見本市「EMO Hannover 2023」(2023年9月18〜23日)の概要を発表し、日本からの出展や来場者の拡大を呼びかけた。

» 2023年02月17日 10時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 International Linkageとドイツメッセ日本代表は2023年2月16日、東京都内で会見を開き、ドイツのハノーバーで開催される国際金属加工見本市「EMO Hannover 2023」(2023年9月18〜23日)の概要を発表した。主催はドイツ工作機械工業会(VDW)で、ドイツメッセが協力する。国内ではドイツメッセ日本代表と代理店契約を結ぶInternational Linkageが普及促進活動を行っている。

テーマは「未来への洞察」

VDW エグゼクティブディレクター Dr.ヴィルフリート・シェーファー氏

 日本では、コロナ禍が落ち着いた後、経済が一時的に回復したが、現在は再び冷え込んでいると、VDW エグゼクティブディレクター Dr.ヴィルフリート・シェーファー氏は指摘する。

 「エコノミストは、円安による輸入コストの高騰と世界的な需要の落ち込みを受け、2022年における日本の経済成長率はわずか1〜2%にとどまると予測している」(シェーファー氏)。

 VDWの経済分析パートナーであるOxford Economicsの経済研究者は、経済成長の鈍化を打開するために、日本の製造業が設備の強化に1740億ドル以上を投資するとみている。その資金の大部分は、半導体生産の増強を図っているエレクトロニクス事業と蓄電池の生産に投じられる見込みだという。

日本企業の工作機械に対する投資[クリックで拡大] 出所:VDW

 また、製造業では、ビジネスレジエリンスとサプライチェーンの強化だけでなく、日本政府の「グリーン成長戦略」に沿ったカーボンニュートラル施策の整備も求められている。こういった問題を解決するプロジェクトを行う上で必要な工作機械の新技術に触れられる場がEMO Hannover 2023だと、シェーファー氏は強調する。

 EMO Hannover 2023のテーマは「未来への洞察」だ。展示エリアは、ソリューションに合わせて「ビジネスの未来」「コネクティビティの未来」「サステナビリティの未来」という3つのエリアに分けて展開されるという。

「生産におけるIoT」に新たな光を当てるネットワーク基盤

 ビジネスの未来では、新たな市場やビジネスモデル、ビジネスチャンスに焦点を当て、企業のイノベーション文化、アジャイル手法の導入、方法論的知識の構築で役立つソリューションを扱う。

 コネクティビティの未来では、産業IoT(モノのインターネット)、デジタルビジネスモデル、予知保全、機械学習、相互運用性、AI(人工知能)、拡張/仮想現実アプリケーションを用いた製品や「インダストリー4.0」に適したテクノロジーを披露する。

 「(このカテゴリーでは)工場内の垂直ネットワーク基盤だけでなく、バリューチェーンにおけるサプライヤーと顧客との水平ネットワーク基盤も紹介することで、『生産におけるIoT』に新たな光を当てる」(シェーファー氏)。

 ネットワーク構築の基盤として、さまざまな機械や装置、ソフトウェアのデータをつなぐ国際標準のオープンインタフェースも重要だという。一例を挙げると、ドイツでは、数年前から、プラットフォーム「umati」で、オープンな国際標準規格「OPC UA(OPC Unified Architecture)」をベースとするグローバル生産言語の開発を進めている。

 umatiは、既に23社の日本企業とエッジコンピューティング領域を対象とした「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」と連携している。EMO Hannover 2023では、さまざまなメーカーの工作機械やシステムと連携して、umatiブースで同プラットフォームのライブデモンストレーションを実施する。ライブデモでは、会場や遠隔地の工作機械とumatiを接続し、来場者がスマートフォンで利用できる「umatiダッシュボード」で工作機械の稼働状況を見られるようにする見込みだ。

「umatiダッシュボード」の画面、連携している工作機械の位置を表示[クリックで拡大]

 「(EMO Hannover 2023では)前回のEMO Hannover 2019と同様に、umatiと接続した機械本体には、umatiのロゴおよび2次元バーコードが貼り付けられる。来場者はスマートフォン端末などでこの2次元バーコードを読み込むと、umatiダッシュボードのシステム画面が表示され、工作機械の生産スピードなど、機械の稼働状況を確かめられる。新たな取り組みとして、製造スピードに対するエネルギー消費量も表示することを検討している」(シェーファー氏)。

 サステナビリティの未来では、資源節約型のクライメイトニュートラルな生産/工場計画、生産における循環経済、循環型の価値創造、エネルギー効率に優れた生産、サステナブルなサプライチェーン、安全な職場設計を達成するための予防的な取り組みを後押しするソリューションを展示する。

既に70社以上の日本企業が出展登録

松浦機械製作所 代表取締役社長の松浦勝俊氏

 今回の展示会では既に70社以上の日本企業が出展登録している。そのうちの1社である松浦機械製作所 代表取締役社長の松浦勝俊氏は、「当社は、工作機械の製造/販売を手掛けるメーカーで、年間販売数の3分の1を欧州企業の購入が占めるため、欧州市場へのプロモーションの場としてEMO Hannoverに期待を寄せている。既存ユーザーとの交流および製品のフィードバックにも役立つ他、新規顧客との出会いや最新技術動向を調査する機会としても有効だ。EMO Hannover 2023では、主力製品である5軸制御のマシニングセンタを中心にマルチパレットシステムを展示する」と述べた。

松浦機械製作所のマーケット比率[クリックで拡大] 出所:VDW

 シェーファー氏は、「日本は工作機械の生産数でドイツに次ぐ3位に位置しており、輸出比率は70%弱にのぼる。だからこそ、日本のサプライヤーにとっては、提供する製品とサービスを、EMO Hannover 2023などの国際展示会で展示することが非常に重要になる」と力強く語った。

工作機械の生産数の世界ランキング[クリックで拡大] 出所:VDW
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