“製造業のため”のデータスペースを作る意義、「Manufacturing-X」が目指すものFAインタビュー(1/3 ページ)

欧州で進む“製造業のため”のデータスペースとして注目を集める「Manufacturing-X」。この「Manufacturing-X」を推進する企業の1社で主要メンバーとして参加するベッコフオートメーション COOのゲルト・ホッペ氏に話を聞いた。

» 2023年07月07日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 2011年に欧州でインダストリー4.0のコンセプトが発表されてから12年経過した。これらを実現に導く取り組みは定着し、日本の製造業でもスマート工場化を推進する動きが着実に広がっている。こうした中でさらに推進する動きとして、現在欧州で進んでいるのが産業ごとのデータスペース構築だ。データ活用を企業内でとどめるのではなく、企業間で行おうとすると共有できるデータスペースが必要になるが、さまざまな企業が参画できる仕組みを1社で作ろうとすると負担が大きい上、実情にあったものを作ることが難しいためだ。

 こうした考えの下、2019年にはセキュリティとデータ主権を保護しつつ、データ流通を支援するためのインフラ構想としてドイツ政府とフランス政府が「GAIA-X」を発表した。さらに、これらのインフラと協調しつつ、自動車業界固有のデータ共有システムの構築を目指す「Catena-X」が2021年に誕生し、100社以上の企業や組織により、自動車のサプライチェーン情報を共有する仕組みなどの取り組みが進んでいる。

 こうした動きに対し「製造業特有」のデータ共有基盤を作ろうという動きが「Manufacturing-X」である。この「Manufacturing-X」を推進するイニシアチブにおいて、創設ボードメンバーを務め、GAIA-X欧州データクラウドアソシエーションやオープンインダストリー4.0アライアンスなどでも要職を歴任するBeckhoff Automation(ベッコフオートメーション)COOのGerd Hoppe(ゲルト・ホッペ)氏に、製造業におけるデータエコシステム構築の動向や、製造機器メーカーが考えておくべきことについて話を聞いた。

photo ベッコフオートメーション COOのゲルト・ホッペ氏

欧州で進む産業向けデータスペース構築の動き

MONOist インダストリー4.0を前提にGAIA-XやCatena-X、さらにManufacturing-Xなどデータスペースやデータエコシステムを構築する動きが進んでいます。こうした動きをどう捉えていますか。

ホッペ氏 データを企業間で共有するための仕組み作りが必要であるため、欧州ではデータエコシステムを構築するためのインフラ構想である「GAIA-X」が2019年に発表された。欧州の企業や行政、機関、市民の権利を守るためのデータ保護や透明性、データ主権や信頼性の担保、相互運用性のあるデータ流通プラットフォームの社会実装を目指しているものだ。発表から4年がたち、トラストセンターやセントラルカタログの用意などさまざまな整備が進んでいる。

 GAIA-Xはもともとドイツ政府とフランス政府が提唱したものであり、初期はドイツとフランスの11社が基幹メンバーとして入っていた。ドイツ企業であるベッコフオートメーションもその1社でこうした動きに関わってきたが、現在は欧州の他の国の企業の参画を促すために外れている。

photo GAIA-XのアーキテクチャとManufacturing-Xデータスペースの仕組み[クリックで拡大] 出所:ベッコフオートメーション

 こうしたGAIA-Xの動きを背景に「各産業に合わせた形でデータワーキングスペースをどう作るのか」ということに議論が動き始めた。いち早く動きが形になってきているのが、自動車産業を対象とした「Catena-X」だ。

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