出光興産が固体電解質の生産能力を増強製造マネジメントニュース

出光興産は、全固体リチウムイオン二次電池の普及/拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(千葉県市原市)の生産能力を増強する。

» 2023年06月20日 10時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 出光興産は2023年6月19日、全固体リチウムイオン二次電池(以下、全固体電池)の普及/拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラント(千葉県市原市)の生産能力を増強すると発表した。増強のための改修工事は2024年度内を予定している。2023年7月から小型実証設備第2プラント(千葉県袖ケ浦市)の稼働も開始し、全固体電池の開発を進める自動車や電池メーカーなどへ、同社の固体電解質を着実に供給していく。

小型実証設備第1プラント[クリックで拡大] 出所:出光興産

 第1プラントと第2プラントの小型実証設備で製造した固体電解質のサンプルを活用し、自動車と電池メーカーなどのニーズを把握しながら固体電解質の開発を推進することで、迅速に適切な材料仕様を作り上げるという。そして、小型実証設備での実証を足掛かりに、次のステージとなる大型パイロット装置での量産技術の確立とその先の事業化へつなげる。また、材料メーカーと共同開発にも取り組み、新しい高性能材料の開発も行っている。

今回の取り組みの概要図[クリックで拡大] 出所:出光興産

 なお、事業化へ向けては、日本だけでなく、グローバルで自動車メーカーや電池メーカー、材料メーカーとの共同取り組みを強化するために、スイス/バーゼルのIdemitsu Research and Business Development Europeや韓国/京畿道烏山市のIdemitsu Advanced Materials Korea、米国/カリフォルニア州サンノゼのIdemitsu Americas Holdingsといった拠点を窓口として活用する。

 出光興産は、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年ビジョン「責任ある変革者」、2050年ビジョン「変革をカタチに」を掲げている。2022年11月に発表した中期経営計画(対象年度は2023〜2025年度)では、「一歩先のエネルギー(多様で地球環境に優しいカーボンニュートラルエネルギーの安定供給)」「多様な省資源・省資源循環ソリューション(産業活動/一般消費者向けのカーボンニュートラルソリューション)」「スマートよろずや(地域の暮らしを支える多様なエネルギーとモビリティ拠点)」の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と「未来の地球環境を守る責任」を果たすことを表明した。

 今回の取り組みは、電気自動車(EV)や蓄電池などの普及拡大に貢献するもので、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」に向けた取り組みと位置付けている。

事業ポートフォリオ転換に向けた3つの事業領域[クリックで拡大] 出所:出光興産

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