協業で使用済みリチウムイオン電池のニッケルをリサイクルリサイクルニュース

パナソニック エナジーと住友金属鉱山は共同で、電池廃材から正極材原料となるニッケルを回収し、リサイクルする取り組みを開始した。パナソニック エナジーの車載事業では初の取り組みとなる。

» 2025年04月11日 15時30分 公開
[MONOist]

 パナソニック エナジーは2025年3月31日、住友金属鉱山と共同で、リチウムイオン電池の正極材原料であるニッケルのリサイクルを開始すると発表した。

 住友金属鉱山は2017年から、使用済みリチウムイオン電池や電池廃材から回収した銅とニッケルを再資源化し、同社の正極材原料として利用してきた。

 今回の連携により、住友金属鉱山の東予工場(愛媛県西条市)とニッケル工場(同新居浜市)において、パナソニック エナジーの住之江工場(大阪府大阪市)の製造プロセスで生じた廃材から硫酸ニッケルを回収し、その硫酸ニッケルで製造した正極材をパナソニック エナジーのリチウムイオン電池材料に使用する。

 両社は、ニッケルのリサイクルを手始めに、2026年以降はリチウムやコバルトなど、他の正極材原料に関しても同様の取り組みを進める計画だ。なお、使用済み製品の材料を再原料化して同じ製品に用いる「クローズドループリサイクル」は、パナソニック エナジーの車載事業において初の取り組みとなる。

 今後、電気自動車(EV)の利用拡大により、廃棄される使用済み車載電池の量が2030年ごろから急速に増加すると見込まれている。リチウムイオン電池には、希少資源のニッケル、コバルト、リチウムなどのレアメタルが使用されており、EV市場が持続的に成長していくには、使用済み電池のリサイクルシステムを確立する必要がある。

 パナソニック エナジーでは、車載電池事業において、2027年までにリサイクル材を用いた正極材の比率を20%とする目標を掲げている。また、工場でのリサイクルなど都市鉱山を通じた材料の獲得は、天然鉱山での採掘に比べてCO2の排出量を大きく減らすことから、2030年度のカーボンフットプリントを2021年度比50%にするという同社の目標達成にも貢献する。

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