出光興産は、「第13回クルマの軽量化技術展」において、透明性の高いGF強化PC樹脂を披露した。透明樹脂として知られるPC樹脂はGF強化すると不透明になることが課題だった。
出光興産は、「第13回クルマの軽量化技術展」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)において、透明性の高いGF(グラスファイバー)強化PC(ポリカーボネート)樹脂(以下、透明GF-PC)を披露した。透明樹脂として知られるPC樹脂を強化するためにGFを加えると透明性が失われることが課題だったが、透明GF-PCはGF強化による剛性や比強度の向上を実現しつつ透明性を確保した。量産化開発に一定のめどをつけたことから、展示会出展によって顧客や協業パートナーを掘り起こして事業化につなげたい考え。
従来のGF強化PC樹脂では、屈折率の異なるPCとGFの界面で光が散乱してしまうため不透明になることが課題だった。透明GF-PCは、PC樹脂のモノマーや高分子構造を調整するとともにGFにも工夫を施し、PCとGFの屈折率をほぼ同じにして光の散乱を抑えている。全光線透過率は、ガラスの92%、PC樹脂の90%に対して、透明GF-PCは88〜90%とほぼ同等レベルを確保している。
一方、重量当たりの強度となる比強度については、ガラスの20〜60の2倍以上となる120を達成しており、ガラスを透明GF-PCに代替することで軽量化が可能になる。また、PC樹脂はガラスと比べて熱伝導率が低く、透明GF-PCでもガラスの25%しかないので、断熱性の向上による省エネ効果も期待できる。「PC樹脂にはひっかき硬度が低いという課題があったが、透明GF-PCは通常のPC樹脂や従来のGF強化PC樹脂よりもはるかに硬い2H(鉛筆法)の高度を実現できていることも大きな特徴になる」(出光興産の説明員)。
なお、透明GF-PCは、顧客の求める特性に応じて、GF比率で5%、10%、20%、30%のラインアップが用意されている。
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