CFRPの間に発泡材を挟んで軽量化、発泡素材の可能性を広げる積水化成品オートモーティブワールド2020

積水化成品は「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、自動車の軽量化や安全性に貢献する同社の発泡素材とその複合化技術などを訴求。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と発泡体を組み合わせ、軽量化や柔軟性などを実現した素材などをアピールした。

» 2020年01月16日 06時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 積水化成品は「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、自動車の軽量化や安全性に貢献する同社の発泡素材とその複合化技術などを訴求。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と発泡体を組み合わせ、軽量化や柔軟性などを実現した素材などをアピールした。

発泡素材とCFRPを組み合わせて高強度で軽量な素材を実現

 積水化成品は発泡プラスチックのパイオニアとしてさまざまな発泡製品を展開。自動車向けでもさまざまな提案を進めているが、会場でアピールした製品の1つが、積水化成品が独自開発したCFRPと発泡成形体の複合材料である「ST-LAYER」である。

photo 上に載っている灰色の素材が発泡素材。下にあるのがCFRPにこの発泡素材を挟んだ新構造体。高強度で軽量性に優れる他、自由度が高い形状設計が可能となる(クリックで拡大)

 「ST-LAYER」は、CFRPの持つ高弾性率、高剛性、熱安定性と、発泡体の持つ高い形状自由度、軽量性、衝撃吸収性を併せ持つことが特徴である。同じ強度の金属系材料と比較した場合「例えば、フロントカバーに採用されたケースを想定すると、3〜5割軽量化することが可能」(説明員)だという。またCFRPに対しては「CFRP単体だと衝撃に対する脆さが課題となっているが、発泡剤を組み合わせることで強靭さを高めることができる」(説明員)としている。現状ではSグレード、Bグレード、Fグレードの3種類のグレードを展開しており、対応可能な最大サイズは約1000×1000mmだという。

 既に数年前から自動車メーカーへの提案を進めているが現状では「採用には至っていない」(説明員)とする。課題としては「生産できる大きさが課題となっている。大型のものを作ることを考えると生産技術などの問題が出てくるため、コストを見極めながら開発を進める必要性が出てくる。現状では、これらの用途を見極めながら提案を広げている過程だ」(説明員)としていた。

エンプラベースの発泡体なども提案

 その他、エンジニアリングプラスチックベースのビーズ発泡体「ST-Eleveat」などの提案も行った。従来の発泡素材の耐熱温度は80〜100℃以下であるため、自動車のエンジンルームなど高温環境での使用は難しかった。しかし、「ST-Eleveat」はエンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックを主原料とし構造部材として適用可能な高耐熱、高強度を実現。耐熱120℃グレードで、量産化技術を確立したという。会場では180℃でも対応可能な「Eグレード」製品などを展示する。

photo 「ST-Eleveat」による成形サンプル高強度、高耐熱性、軽量性などの特徴を持つ(クリックで拡大)

 非発泡樹脂成型品と比べ80〜90%の軽量化が可能である特徴を持つ他、特殊成形機が不要である点も利点として訴えている。2019年7月に発表以降、さまざまな提案を進めているが「自動車メーカーへの採用はまだ決まっていないが、軽量化ニーズが高まる中でさまざまな用途が考えられる。例えば、電気自動車の電池周りなどでの利用だ。トラックやバスなど商用車での手応えがよい」(説明員)としていた。

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