ルネサスとしては、EVの電動システム向けをはじめ車載半導体で広範なポートフォリオを有しており、E-Axleについても分離型と統合型それぞれに対応していく方針だ。バーン氏は「今回のニデックとの協業によってワールドクラスのX-in-1システムを実現できると考えている」と語る。
また、今回の協業が成立した背景には、ルネサスがIGBTやSiCなどパワーデバイスの開発と量産に注力する姿勢を鮮明していることもありそうだ。同社は、業界最高効率のIGBTやSiC-MOSFETの開発を進めている他、300mmウエハーによるIGBTの量産や、SiCデバイスの生産ライン立ち上げを2025年に計画している。「IGBTやSiCを駆動するのに必要なゲートドライバーもそろえるなど、E-AxleのX-in-1システムを統合していく上での優位性が当社にはある」(バーン氏)という。
大村氏は「今回の協業によって半導体のサプライヤーがルネサスだけになるということはない。第1世代のE-Axleや第2世代の3-in-1システムのE-Axleでは別のメーカーから半導体を調達しており、今後も半導体戦略の基軸である“Buy”に沿って提示したRFIに基づき現行のサプライヤーからの調達を進めていく。ルネサスとは、まずはX-in-1システムのPoC開発を通して関係を深めていくが、当社が実現を目指すインテリジェントモーターソリューションに必要なX-in-1システム向け高付加価値半導体コンポーネントの採用では、RFQに基づいて他社との競争になるだろう」と述べている。
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