稼ぐ力はカーボンニュートラルに向けたさまざまな取り組みへの投資に充てる。米国や中国を中心に2026年に150万台のEVを投入する計画や、水素の消費量が大きい欧州や中国などでの水素社会実現に向けた取り組み、タイでの水素サプライチェーンの社会実装などが既に発表されている。
2030年にかけて30%以上の市場成長が見込まれるアジアや新興国は、HEVを軸に販売を成長させ、収益基盤の強化につなげる。アジアの2030年の市場は、HEVのシェアが21%、EVが5%と見込む。
新設するEVの専任組織「BEVファクトリー」についても公式に発表した。既存の組織「トヨタZEVファクトリー」は廃止し、車両カンパニーに移管する。BEVファクトリーでは1人のリーダーの下で開発、生産、ビジネスの全てのプロセスを一気通貫で行い、スピーディーな意思決定と実行を目指す。
北米や中国、欧州などのニーズと市場動向の取り込み、知能化の最新技術に取り組むウーブン・バイ・トヨタとの連携、新技術や新工法を用いたモノづくりに向けた仕入先との協力など、横断的な組織でアジャイルな開発を加速させるとしている。
BEVファクトリーのトップに就くのは、クルマ開発センター センター長の加藤武郎氏だ。加藤氏はBYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニーに携わっていた。
2023年4月28日に発表したダイハツ工業の認証不正問題の現状についても言及した。独立した第三者審査機関の下で再試験を実施し、当該車両の品質や安全性に問題がないことを確認。当局と協議の上、トヨタブランドで販売するマレーシア/メキシコ/エクアドル向けの車両の出荷を再開した。タイや中東諸国向けは引き続き当局と相談していくという。
社長の佐藤氏は「こういうことが起きてしまった原因は、人ではなく仕組みや環境にあるのではないか。原因を突き止めるには行動で示すしかない。本音を話してもらえるまで現場に通って会話を続け、相手の立場を理解したい。不安を取り除き、心理的安全性を担保した上で、一丸となれるようにしていく」と述べた。
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