日本電産の次期社長候補となる副社長5人が決定製造マネジメントニュース

日本電産は2023年3月10日開催の臨時取締役会において2024年4月に就任予定の社長候補者となる副社長5人の人事を決定した。

» 2023年03月14日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日本電産は2023年3月13日、同月10日開催の臨時取締役会において2024年4月に就任予定の社長候補者となる副社長5人の人事を決定したと発表した。5人とも2023年4月1日付で副社長執行役員に就任する。日本電産グループ全体の社名変更、研究部門の組織変更、機械事業本部の新設に伴って同日付で担当も変わる。

 副社長に就任するのは次の5人だ。日本電産での社歴が最も長いのが日本電産サンキョー 代表取締役社長執行役員の大塚俊之氏で、新卒で1989年4月に埼玉銀行(現りそな銀行)に入行後、2004年11月に日本電産リードに入社した。

 日本電産シンポ 代表取締役社長執行役員の西本達也氏は新卒で1979年4月に三井銀行(現三井住友銀行)に入行、三井住友銀行 執行役員 渋谷法人営業本部長 兼 横浜法人営業本部長を経て2009年5月に日本電産に入社した。

 日本電産 専務執行役員 グループ会社事業本部長の北尾宜久氏は新卒で1982年4月に住友銀行(現三井住友銀行)に入行、三井住友銀行 理事 難波法人営業第一部長を経て2012年4月に日本電産に入社している。

 日本電産 専務執行役員 CTO(最高技術責任者)で生産技術研究所担当、グローバル生産技術統括本部担当の小関敏彦氏は1983年4月に新卒で新日本製鉄(現日本製鉄)に入社。東京大学 工学系研究科 教授、同 理事・副学長を経て、2018年4月に日本電産 非常勤顧問に就任。2019年4月から専務執行役員を務める。

 日本電産 専務執行役員 車載事業本部長兼欧州CEO兼欧米事業統括の岸田光哉氏は新卒で1983年4月にソニー入社。Sony Ericsson Mobile Communications、ソニーの生産本部長、ソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長、ソニーのモバイルコミュニケーションズ事業担当の常務を経て2022年1月に日本電産入社。常務執行役員 車載事業本部副本部長などを務めて現職を担当。

 銀行出身者が多いことに関して、日本電産 代表取締役会長の永守重信氏は「製品やマーケットをよく知っている。幹部よりも詳しい。M&Aを長くやってきた者もいる」と評価。また、入社後わずか1年の岸田氏については「日本電産のポリシーや私の考えを非常に熱心に勉強してもらった。既に10年やってもらっているような感じで仕事をしてくれている」と紹介した。

副社長となる5人[クリックで拡大] 出所:日本電産
副社長になる大塚俊之氏(左)、西本達也氏(中央)、北尾宜久氏(右)[クリックで拡大] 出所:日本電産
同じく副社長になる小関敏彦氏(左)、岸田光哉氏(右)[クリックで拡大] 出所:日本電産

指名委員会での審議を経て決定

 副社長5人は、取締役会の諮問機関となる指名委員会の審議も経て決定した。副社長は、日本電産の役員ポストやグループ会社社長ポストに就任している役員の中から選任することとしている。副社長の選任基準は、日本電産役員ポストおよびグループ会社社長ポストの中で「際立った変革のリーダーシップを発揮」「際立った業績貢献を行った者」であること。また、社長ポストへのポテンシャルが見られる者であることだという。副社長の選任基準と照らし合わせ、指名委員の社内取締役が候補者案を作成。その後、指名委員の社外取締役3人が候補者と個別に面談した上で指名委員会が審議し、取締役会にて決定した。

 今後は副社長5人の中から2024年4月に就任する社長を選出。選出に当たっては指名委員会で審議を行う。社長就任後の任期は4年で、その後4年間会長を務めるという。2024年4月に現会長の永守重信氏は取締役グループ代表に、現社長の小部博志氏は代表取締役会長CEOに移行し、新社長の経営を支える。

 永守氏は次世代へのバトンタッチについて前向きに語った。「前任者の失敗を含め、後継者選びに10年ほど無駄な時間をかけてしまった。今回からは社外取締役を含めた指名委員会がいて、決定権も社外取締役にある。候補者は示したが、私の意見はあまり言わないようにと考えている。2028年、2032年に就任する社長候補となる人材の教育もすでに始まっている。今後は業績や株価へのこだわりとは違った角度から人選されるのではないか。これまでの50年の経営は決して間違っていなかったが、猛烈な経営はもうできない。働きやすくていい会社にしていってもらうことが今後の日本電産の経営者に必要になるだろう。次の50年に向けて抜本的な改革をするためには、われわれ2人(永守氏と小部氏)ではやっていけないので、新しい人たちに新しいシステムを作り上げてもらうのが正しい」(永守氏)

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