日本電産は2021年10月26日、オンラインで2022年3月期第2四半期(2021年4〜9月期)の決算説明会を開催した。
日本電産は2021年10月26日、オンラインで2022年3月期第2四半期(2021年4〜9月期)の決算説明会を開催した。
売上高は前年同期比21.1%増の7517億円、営業利益は同30.4%増の691億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同38.6%増の487億円となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でベトナムに生産拠点が集中している精密小型モーターの売り上げと利益が想定を下回ったものの、「家電・商業・産業用」と「車載」の製品グループで増収増益を達成できたことから、当初の2021年4〜9月期の業績見通しを上回った。
2022年3月期通期の業績予想も上方修正し、通期の売上高は当初の業績見通しから1000億円増の1兆8000億円、営業利益は同100億円増の1900億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は80億円増の1480億円を計画している。
決算説明会には、日本電産 代表取締役会長の永守重信氏が出席。EV(電気自動車)の価格競争への備えなど、車載事業の考え方や戦略について語った。
永守氏は「EVの価格は5分の1になる」との見通しを繰り返し述べた。「伝統的な自動車メーカーにこれを伝えると、とんでもないと腹を立て、そんな安いクルマはいかがなものかと批判される。しかし、50万円の超小型EVが大ヒットしているのも事実だ。こうしたクルマは新興国だけのものではなく欧州に向けて輸出されている。欧州の自動車メーカーも100万円以下のクルマの開発に力を入れ始めている」(永守氏)。
価格を5分の1に下げる見通しの背景にあるのは、「アフリカや南米などでクルマを必要としている人が5億人いる。彼らは100万〜200万円の価格ではクルマを購入できないが、オートバイではなく屋根のあるクルマが欲しいと思っている」(永守氏)という、従来の自動車の価格帯では拾いきれない将来のユーザーの存在だ。
「100万円以下のクルマを必要とする5億人を相手にするのであれば、伝統的な自動車メーカーだけが強みを持つということにはならない。むしろ、重い固定費を背負った既存の自動車メーカーでは安くクルマを作るのは難しいだろう。一からスタートできる新興自動車メーカーの方が安く作る素地がある」(同氏)と、新規参入の自動車メーカーの開拓を強化する狙いについても語った。
また、「みんなが買える価格帯を目指し、生活を便利にするものを普及させるべきだ」という永守氏の哲学にも裏打ちされている。
「先進国の自動車はどれも似たような価格で販売されている。その一方で、使わない機能や装置が過剰だ。全てがそういうクルマである必要はない。もっとシンプルにして、誰もが購入できる価格を目指していかなければ、業界はダメになる。日本の家電は、技術ではなく価格競争で海外勢に負けた。価格競争には大手企業であっても負ける。家電やPC、携帯電話機は価格が下がる中でたくさんの人が手に取れるようになった。“もっと便利な生活を送れる人を増やそう”という心構えで、製品を普及させるべきなのではないか。高い値段のまま売り続けるのはよくない」(永守氏)
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