デジタルツインを実現するCAEの真価
連載
» 2023年03月13日 07時00分 公開

Excelを使って周波数分析をやってみよう!CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(5)(4/5 ページ)

WAVデータのExcelへの読み込み

 打ち抜きプレスの騒音を録音してWAVデータ化したものが、FFT_R4.zipの中にあります。ファイル名は「press_before_cut.wav」です。L-channel側だけに音が入っています。PCにスピーカがつながっていたらダブルクリックして音を聞いてみてください。このWAVデータの録音条件を表2に示します。

WAVデータの録音条件 表2 WAVデータの録音条件[クリックで拡大]

 では、このWAVデータをExcelで読み込みます。図15の手順で「wave_Reader」という名前が付いたマクロプログラムを実行してみてください。

WAVデータのExcelへの読み込み 図15 WAVデータのExcelへの読み込み[クリックで拡大]

 マクロを実行すると、図16のようにファイルを選択するウィンドウが表示されるので、(1)「press_before_cut.wav」を選択し、(2)[開く]ボタンを押します。次にRe-samplingウィンドウが表示されるので、そのまま(3)「8000」を入力し、(4)[OK]ボタンを押下します。すると再びRe-samplingウィンドウが表示されるので、(5)[OK]ボタンを押します。データの読み込みに10秒ほどかかりますが、Excelの「Wave」シートにWAVデータが読み込まれます。

WAVデータのExcelへの読み込み 図16 WAVデータのExcelへの読み込み[クリックで拡大]

 いずれ説明しますが、“騒音対策では4000[Hz]までの音だけを対象にしてよい”と考えています。サンプリング定理からいうと、サンプリング周波数は8000[Hz]で十分です。しかし、WAVデータは4万4100[Hz]でサンプリングされているので、リサンプリングしています。切りのよい周波数は8820[Hz]なので、Re-samplingウィンドウでは「8820[Hz]でリサンプリングしていいか?」と聞いているので[OK]ボタンを押したのでした。ソースコードを見れば分かりますが、この場合5個のデータを平均して1個のデータにしています。

WAVデータの周波数分析

 続いて、プレスの騒音の周波数分析を行いましょう。Excelの「Wave」シートに読み込まれたデータがあります。このシートを図17に示します。

「Wave」シート(読み込んだWAVデータ) 図17 「Wave」シート(読み込んだWAVデータ)[クリックで拡大]

 L-channelのリサンプリングされたデータを使うので、I列のデータとなります。読み込んだデータは符号付き16ビット整数型変数のデータで、音圧に比例した−3万2768〜3万2767の数値です。必要なデータ数は2048個なのでG列のIndexを見ながら2048個のデータをクリップボードにコピーして、「FFT2048」シートのG2セルに貼り付けてください。そして、「FFT2048」シートのB4セルを8820[Hz]に変更します。

 図18に2048個のデータを切り取った例を示します。プレスの打ち抜き音を小さくするには、図中のオレンジ色のデータを切り取らなければなりません。図中の黄色のデータからは騒音低減のための情報は得られないでしょう。というわけで、データの切り抜き範囲の決定は重要で、ここは人間による作業になります。

WAVデータの切り取り例 図18 WAVデータの切り取り例[クリックで拡大]

 FFTアナライザでは、このような切り取りを「トリガ機能」をうまく使って行います。「高橋さん、周波数分析結果です」「ん? これ、トリガ使ったの?」「トリガって何ですか?」「このすっとこどっこい!」とはいえない時代になってしまいました。無秩序なタイミングでデータを収集しても意味のある情報は得られないので注意が必要です。FFTアナライザのトリガ機能の使い方は次回説明します。

 オレンジ色の部分の周波数分析結果を図19に示します。まだ、ノイズ成分が含まれています。前述した切り取り作業を繰り返して、周波数軸上で振幅を平均化する必要があります。連載第4回の図7は10回分のデータを平均したものです。

WAVデータの周波数分析結果 図19 WAVデータの周波数分析結果[クリックで拡大]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.