「サンプリング定理(標本化定理)」とは、周波数f[Hz]の信号を観測するためには1周期のうちに2点以上の測定点が必要になるというものです。図3は1周期のうちに2点のサンプリングをしているとても粗いサンプルデータですが、“サンプリングをすれば元の信号を観測できたことになる”のです。乱暴な話ですね。
サンプリング周波数がfsのとき、fsの2分の1の周波数までの信号は観測可能で、fsの2分の1をNyquist周波数といいます。つまり、信号に含まれる最高周波数の倍の周波数でサンプリングすればいいのです。では、Nyquist周波数でサンプリングした場合を考えてみましょう。図4のようになります。
図4左図のようにピーク値のところでサンプリングできる場合もありますが、図4右図のようにゼロ値をサンプリングする場合もあります。つまり、Nyquist周波数の信号は観測できないのです。というわけで、表1の最大周波数はNyquist周波数の1つだけ下の周波数となります。先ほど「式3のNyquist周波数成分を無視しよう」と説明したのはこのような理由からです。
周波数分析の準備が整いましたので手を動かしましょう。最初に、Excelで離散フーリエ変換を行えるようにします。手順は次の通りです。Excelのメニューから[ファイル]を選択して一番下にある[オプション]をクリックします。すると、図5のようなウィンドウが開くので[アドイン]をクリックし、[設定]を押します。
次に図6のようなウィンドウが表示されるので、「分析ツール」のところのチェックを“ON”にします。そして、[OK]ボタンを押してください。
では、マクロ付きExcelをダウンロードします。ここをクリックしてください。ダウンロードファイル(FFT_R4.zip)はZIP形式の圧縮ファイルなので解凍してから「FFT_R4.xlsm」を開いてください。
続いて、テスト波形を作ります。連載第4回で使った「振幅3の30[Hz]のcos波、振幅4の150[Hz]のcos波、振幅5の300[Hz]のcos波が重なった波形」を作りましょう。Excelの「テスト波形」シートを選択します。シートの中身は図7の通りなので、こちらを参照してサンプリング周波数、振幅、周波数を代入します。
「テスト波形」シートのK2セルには図8のような式が入っています。連載第4回の式15ですね。今回作ったマクロ付きExcelシートはサンプル数を2048個としました。
図9に示すように「テスト波形」シートのK列をクリップボードにコピーします。
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