立命館大学は、触覚センサーを集積し、人の指のような動作が可能なマイクロフィンガーによる触診技術を開発したと発表した。また、マイクロフィンガーの曲げ動作によって得られる指向性の有効性を確認した。
立命館大学は2023年1月19日、触覚センサーを集積し、人の指のような動作が可能なマイクロフィンガーによる触診技術を開発したと発表した。また、マイクロフィンガーの曲げ動作によって得られる指向性の有効性を確認した。同大学理工学部教授 小西聡氏らの研究チームによる研究成果だ。
マイクロフィンガーは人の指を縮小した形態で、人工筋肉を内蔵しているため、曲げて押し込む動作が可能だ。シリコンラバーなどのポリマーを主材としており、柔らかい。また、接触対象から受ける反力を検知して対象物体の柔らかさや硬さの情報を取得するための歪センサーを集積している。
今回の研究では、16×40×0.85mmのマイクロフィンガーを活用。ゼラチンの深さ10mmに埋め込まれた弾性体(剛球)に接触して押し込み、硬さの計測に成功した。
また、ゼラチンの複数箇所を押し込むことで硬さの反力分布を計測し、ゼラチン中にある硬い特異部を効率よく検出することもできた。
従来の触診技術の多くは、接触部の直下へ押し込み、物体の表面状態を計測する。そのため、今回の実験のように特異部が接触部の直下にない場合や10mm程度深部にある特異部の計測は困難だった。
小型で柔らかいマイクロフィンガーの曲げ動作による高い触診技術は、将来的に、狭小空間である生体内への低侵襲医療や、腫瘍などの触診技術への応用が期待される。また、人間の指と類似の動作が可能なマイクロフィンガーは、コントローラーなどを用いて遠隔で触覚をフィードバックするハプティクスとの連携も可能だ。なお、マイクロフィンガーの長さや幅は用途に合わせて柔軟に設計できる。
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