パナソニック ホールディングスとパナソニック くらしアプライアンス社は、これまで介護職員が介護施設の入居者から聞くことが難しかった排せつ物の情報を取得できるようになり、体調を把握しやすくする「排せつセンサー」を発売する。
パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)とパナソニック くらしアプライアンス社は2023年1月19日、東京都内で会見を開き、介護施設向け介護業務支援サービス「ライフレンズ」と連携可能な「排せつセンサー」を開発し、同年3月からライフレンズのオプションとして提供を開始することを発表した。価格はオープン価格で、システム利用料は月額1000円となる。
排せつセンサーは、センサーヘッド、取り付けプレート、エッジコンピュータで構成され、センサーヘッドのセンサーとエッジコンピュータに搭載されたAI(人工知能)により、介護施設の入居者の排せつ物の状態を検知する他、トイレ入退室時刻、着座している時間、排便と排尿回数、便量、便形状などの情報を自動で記録する。これにより、トイレの付き添いを必要最小限とすることが可能となり介護職員の負担が軽減する他、排せつ記録業務の効率化も実現する。
センサーヘッドとエッジコンピュータは、利用者の入退室および着座の回数と時刻を記録するだけでなく、排せつ物を撮影し、排便量を3段階で、排尿量を2段階で評価して、排便形状を「硬い便と普通便」「柔らかい便」「下痢便」のいずれかで感知して記録できる。介護施設の入居者以外が使用する場合に記録を一時停止することにも対応している。
さらに、Wi-Fiを介して、エッジコンピュータをライフレンズサーバにつなげることで、排せつ物の画像などの収集データをアップロードし、インターネット上にあるライフレンズのダッシュボードで排せつ記録の収集データを確かめられるようにするだけでなく、NTPサーバに接続して時刻の同期が行え、専用サーバとつなげソフトウェアのアップデートも実施できる。
なお、ライフレンズのダッシュボードはPCやスマートフォンで見られる他、見守り情報とともに一元管理することで対象者の生活リズムや体調変化を理解しやすくなる。これにより、介護施設の職員は、これまで入居者の報告でしか分からなかった便の状態などを把握できるようになり、体調を判断しやすい。
パナソニック くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 トワレ・電気暖房事業 総括担当の島津貴夫氏は、「Wi-Fiを通してエッジコンピュータをライフレンズサーバにつなげることでアップロード可能な排せつ物の画像は解像度が低いものとなるが、エッジコンピュータにUSBメモリを装着することで、USBメモリに高解像度の排せつ物画像を保存できる」と述べた。
デザインに関して、トイレの便座を交換することなく、取り付けプレートを用いて簡単に設置可能な他、便座に隠れ存在を意識させず、なだらかな曲面や継ぎ目の少ない仕様で、手入れ性もしやすい。センサーヘッドは簡単に取り外せるだけでなく、取り付けた状態でも凹凸が少なく、容易に拭き掃除が行える。
今回のセンサーに関しては、ライフレンズを導入しているベネッセスタイルケアの介護付き有料老人ホーム「グランダ四谷(東京都新宿区四谷)」に先行導入している。グランダ四谷では、排せつセンサーを活用することで、これまで介護職員が入居者から聞くことが難しかった排せつ物の情報を取得できるようになり、体調を把握しやすくなったという。
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