ソーダ石灰ガラスの溶融工程でCO2フリーを実現 原料と燃料に工夫脱炭素

日本山村硝子は、大阪大学、東京ガス、関西電力との共同研究により、非炭酸塩系のナトリウム、カルシウムシリケートを原料に使用し、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、CO2を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO2フリーが可能であることを実証したと発表した。

» 2025年06月12日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 日本山村硝子は2025年6月10日、大阪大学、東京ガス、関西電力との共同研究により、非炭酸塩系のナトリウム、カルシウムシリケートを原料に使用し、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、CO2を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO2フリーが可能であることを実証したと発表した。

CO<sub>2</sub>排出量ゼロのガラス溶融のイメージ CO2排出量ゼロのガラス溶融のイメージ[クリックで拡大] 出所:日本山村硝子

原燃料由来CO2排出量ゼロを実現する技術を構築

 ソーダ石灰ガラス製品の製造では、ガラス溶融工程においてCO2が発生する炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの炭酸塩原料と、都市ガスなどの化石燃料が使用されており、CO2の排出が避けられなかった。燃料の脱炭素化に関しては、水素やアンモニアを燃料とした研究が進められているが、原料由来のCO2排出量削減も大きな課題となっていた。

 今回の研究では、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを使用せず、CO2を含まないナトリウム、カルシウムシリケートを用いることで、原料由来のCO2排出をなくした。さらに、燃料にはCO2を排出しないアンモニアを使用することで、ガラス溶融工程における原燃料由来CO2排出量ゼロを実現する技術を構築した。

 この研究開発は、日本山村硝子が2023年4月~2026年3月を対象とした中期経営計画で掲げる経営方針「循環型社会の実現に向けた開発」の一環に位置付けられるものだ。

ガラス溶解炉の燃焼場と排ガス場を再現した実験炉 ガラス溶解炉の燃焼場と排ガス場を再現した実験炉[クリックで拡大] 出所:日本山村硝子
溶融したガラスの分析用サンプル 溶融したガラスの分析用サンプル[クリックで拡大] 出所:日本山村硝子

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