プロテリアルは、資源リスクの軽減やコストの抑制を望む顧客向けに、電動車(xEV)駆動用モーター向けの磁石として、高性能フェライト磁石の提案を開始した。
プロテリアル(2023年1月4日付で日立金属から社名変更)は2022年12月9日、同社の高性能フェライト磁石「NMF15」を適用したモーター「フェライト磁石モーター」を最適化設計することで、ネオジム磁石を使用した電動車(xEV)用駆動モーターと同等レベルの出力が得られることを、シミュレーションで確かめたことを発表した。さらに、xEV駆動用モーター用磁石として、ネオジム磁石に加えてNMF15の提案も開始した。
具体的には、NMF15をxEV駆動モーターに適用することを想定して、同社はシミュレーションでモーターの最適化設計を実施した。その結果、磁石の搭載位置やサイズの最適化を図ることで、一定の条件下では、ネオジム磁石を使用したモーターと同等レベルの出力がフェライト磁石モーターでも得られることが判明。フェライト磁石を大出力のモーターでも適用できる可能性も示された。
高性能フェライト磁石モーターの利点は、ネオジムやジスプロシウム、テルビウムを使用しないため、資源リスクの軽減とコスト抑制が期待できる点。同社は今後、これまでネオジム磁石を採用していた用途でも、選択肢の1つとして高性能フェライト磁石を提案していく。
なお、国内では、脱炭素社会を実現するために、自動車生産台数に占めるxEVの比率が高まることが見込まれている。これに伴いxEV用駆動モーターや発電機に使用されるネオジム磁石の生産量拡大が予想されている。
一方、ネオジム磁石は、レアアースのうち軽希土類に分類されるネオジムだけでなく、特に資源量が限られる重希土類のジスプロシウムやテルビウムなどが使用されることから、需要の拡大に伴い資源リスクが高まることが懸念されている。
こういった状況を踏まえて、プロテリアルでは、これまでxEV用モーターの小型化、軽量化につながるネオジム磁石の特性向上に注力するとともに、省重希土類化やリサイクル技術の向上などでマテリアルフローの強化(レアアースの購入量、使用量の低減)を進めてきた。
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