日立製作所が2020年度(2021年3月期)連結決算と2021年度の業績予想、2021年度までの中期経営計画の進捗状況について発表。日立金属の売却を決めたことで「事業ポートフォリオの変革は9割5分終わった」(日立 執行役社長 兼 CEOの東原敏昭氏)という。
日立製作所(以下、日立)は2021年4月28日、オンラインで会見を開き、2020年度(2021年3月期)連結決算と2021年度の業績予想、2021年度までの中期経営計画の進捗状況について発表した。また同日、上場子会社である日立金属の全所有株式(53.38%)をベインキャピタル(Bain Capital Private Equity)などから成る投資ファンドに3280億円で売却することも明らかにした。日立 執行役社長 兼 CEOの東原敏昭氏は、中期経営計画の進捗説明で「今回の日立金属の売却により、事業ポートフォリオの変革は9割5分終わったと考えている。今後は、中核事業に位置付ける、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5セクターと日立アステモによる事業成長に注力していきたい」と述べた。
2020年度の連結業績は、売上高が前年度比0.5%減の8兆7291億円、調整後営業利益が同25.2%減の4951億円、当期利益が同5.7倍の5016億円となった。コロナ禍が続く中で、キャッシュフローを重視する経営を推進したことにより、営業キャッシュフロー率が過去最高の9.1%となり、当期利益も日立化成や画像診断事業の売却益が加わったことで過去最高を達成した。けん引役となったのはITセクターで、売上高は同2%減の2兆487億円だったものの、調整後営業利益は同8%増の2694億円を確保した。中期経営計画の重要指標に位置付けるLumada事業の売上高は同7%増の1兆1000億円となったが、この成長もITセクターが関わるコア事業の伸びによるものだ。
日立製作所 執行役専務 CFOの河村芳彦氏は「過去最高益となったITセクターに加え、買収した日立ABBパワーグリッド(HAPG)やホンダの3社を加えて発足した日立アステモ、モビリティセクターの鉄道システムやエレベーターを中心とするビルシステムなど、大型事業の受注が堅調に推移している」と語る。
コロナ禍の影響も含めて2019年度から2020年度は減収減益(調整後営業利益ベース)となったが、市況の回復に加え、Lumada事業のさらなる成長や大型事業の堅調な受注が売り上げに反映されることなどにより、2021年度はV字回復を達成する見込みだ。2021年度の連結業績見通しは、売上高が前年度比8.8%増の9兆5000億円、調整後営業利益が同49.4%増の7400億円、当期利益が同9.6%増の5500億円となっている。Lumada事業の売上高は同42%増の1兆5800億円となる他、5セクターと日立アステモ、上場子会社の日立建機や日立金属も全て増収増益を果たす見込みである。
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