大阪大学と大衛は、使い捨て携帯カイロの技術を活用して、手術用スコープの曇りと汚れを解消する新製品「ラパホット」を開発した。世界的な課題であるスコープの加温、クリーニングを日本のものづくり技術で解決する。
大阪大学は2022年12月8日、大衛と共同で、使い捨て携帯カイロの技術を活用して手術用スコープの曇りと汚れを解消する「ラパホット」を発売した。世界市場を独占している日本の携帯カイロ技術を活用したもので、低コストで内視鏡スコープの曇りや汚れを解消できる。
手術用スコープは、結露による曇りを防いで視野を確保するため、体腔に挿入する前に加温する。また、レンズに体液などが付着した場合は、その都度抜去して汚れを除去する必要がある。
ラパホットは、携帯カイロ外装の不織布表面に界面活性剤処理を施すことで、加温とともにレンズの汚れを除去できる。携帯カイロを活用していることから、パッケージを開封するだけで加温が始まり、7時間以上使用できる。
安全性と有用性については、大阪大学医学部附属病院で実施した小規模臨床評価で確認済みだ。同年11月からは、海外展開を視野に入れたインドでの臨床評価を開始している。
一般的にスコープの加温には、生理食塩水と滅菌魔法瓶を利用する温水法や外国製の専用機器を使用する手法が用いられている。ラパホットはウォーマー兼クリーナーであり、器具を準備する手間が省け、かつ安価なため、手術スタッフの負担軽減とSDGsゴール3「健康と福祉」達成に重要となるUniversal Health Coverage実現への貢献が期待される。
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