東京大学医学部附属病院は、MRI画像から子宮肉腫を識別する術前画像診断システムを開発した。深層学習を活用した子宮肉腫と子宮筋腫の判別システムで、放射線科専門医の診断に匹敵する正診率を得られた。
東京大学医学部附属病院は2022年11月16日、AI(人工知能)を用いて、MRI画像から子宮肉腫を識別する術前画像診断システムを開発したと発表した。深層学習を活用した子宮肉腫と子宮筋腫の判別システムで、放射線科専門医の診断に匹敵する正診率を得られた。サイオステクノロジーとの共同研究による成果だ。
研究では、子宮肉腫63例、子宮筋腫200例の術前MRI画像を用いて、ネットワークモデル「MobileNetV2」により深層学習と評価を実施した。その結果、90.3%という高い正診率が示された。放射線科専門医と放射線科専攻医の診断では、正診率はそれぞれ88.3%と80.1%で、ほぼ同程度の成績となった。
放射線科専門医と放射線科専攻医がAIモデルの判定結果が分かる状態で診断した場合、正診率はそれぞれ89.6%、92.3%に上昇した。このことから、AIモデルが診断をサポートする役割を担える可能性が示された。
AIモデルの診断補助効果(a)正診率(Accuracy)、(b)感度(Sensitivity)、(c)特異度(Specificity)。S-Avg.=放射線科専門医群成績の平均値、P-Avg.=放射線科専攻医群成績の平均値[クリックで拡大] 出所:東京大学医学部附属病院診断補助としてAIモデルを利用した場合、感度は放射線科専門医で71.0%から83.1%に、放射線科専攻医では47.6%から87.8%まで上昇。子宮肉腫症例の見落とし防止に役立つ可能性が示唆された。
今後、同研究で開発したアルゴリズムにより、子宮の病変をAIが発見して診断する自動診断技術などでの活用が期待される。
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