日本触媒は、AIを活用した高吸水性樹脂の生産計画最適化ソリューションの正式運用を開始した。これまで熟練者が3カ月分のスケジュールを1日かけて作成していたのに対し、30分で生産計画を作成可能になった。
日本触媒は2022年10月4日、AI(人工知能)を活用した高吸水性樹脂(SAP)の生産計画最適化ソリューションの正式運用を開始したと発表した。DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した生産体制の構築に向け、ALGO ARTISと共同開発した。
同社が生産するSAPは、紙おむつをはじめ、さまざまな用途に利用される。子ども向けや大人向けなど、多種多様な吸水特性に対応する必要があり、多数の製品切り替えをしながら、生産条件が異なる各種SAPを製造していた。
それぞれの製品に合わせて生産ラインを効率的に切り替えるため、ALGO ARTISをパートナーとし、AIによる生産計画の最適化を構想。熟練者の経験やノウハウ、実務上の運用ルールを言語化、定式化してAIへ移植し、SAPの生産計画を最適化するソリューションを開発した。
同ソリューションにより、生産計画を従来の10分の1の時間で作成できるようになった。これまで熟練者が3カ月分のスケジュールを1日かけて作成していたのに対し、30分で作成できる。また、在庫不足を回避しながら、生産ラインの切り替え回数を削減できることを確認。SAPの安定供給に加え、生産設備ごとに最適化したことで、省エネルギー化やCO2排出量削減でも効果が期待できる。
全ての検証、改良を終え、姫路製造所で同年10月より本格運用を開始。今後は他製品への展開を図るなど、DX推進による効率的な生産体制の構築を目指す。
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