機械設備の効率については、設備そのものの効率と、生産現場での活用状況評価の両面から考える必要があります。その内容について以下に列挙しましたが、これらの項目について定量的に把握し、効率向上を考えていかなければなりません。
これまで生産現場の人的効率向上の手段として、IE(Industrial Engineering)の分野では下記の図2のような考え方をベースとした作業時間の分離把握を行ってきました。
このIEをベースとした作業時間の分離把握の考え方を機械設備の効率管理に当てはめて、設備の月当たり最大操業時間を720時間(24時間×30日)とします。機械設備の導入後の稼働状況を定量評価する指標の構成と定義は、図3のように定めて多くの企業が活用しています。
前項で定義した各種の時間を用いた機械設備の稼働効率の評価指標を次の(a)〜(d)に、新規機械設備の導入計画時の加工速度に対する現状の速度を評価した指標を(e)に、加工される物の規格に対する良否についての評価指標を(f)にそれぞれ示しました。
式(f)の直行良品数は、最初の加工で不良となり、再調整、再加工、修正などにより良品となったものは除きます。また、判定は該当する工程または作業の最終作業終了時の良否として、後工程の終了時点で該当工程の良否を判定しなければならない場合は、後工程へ渡したものを良品と考えます。
機械設備の効率向上の手段として、以上の各種指標を継続的に収集し、分析することが必要ですが、そのデータ収集作業の効率もよく考えなければなりません。機械設備に適した稼働率計の取り付けもその一つの方法です。
人的効率の分析と異なり、設備の分析は高速かつ複雑な動作を対象とするため、目的に適した指標は何か、基礎データを効率的に収集するにはどうするかなど、目的と手段をよく考えることが重要です。
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どの企業でも継続的に改善活動が盛んに行われており、企業規模の大小にかかわらず、小集団活動も盛んに行われています。その中で、生産性向上や品質向上、効率的な生産活動が運営できるような取組みが行われています。機械設備の改善活動においても、その基本は変わらず「(1)現状分析→(2)目標値設定→(3)改善計画策定→(4)要因解析→(5)復元、改善実施→(6)効果確認→(7)標準化」の手順で展開されます。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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