トヨタ自動車は2022年8月4日、2022年4〜6月期(2023年3月期第1四半期)の決算を発表した。売上高は前年同期比7.0%増の8兆4911億円、営業利益が同42.0%減の5786億円、当期純利益が同17.9%減の7368億円となった。
トヨタ自動車は2022年8月4日、2022年4〜6月期(2023年3月期第1四半期)の決算を発表した。売上高は前年同期比7.0%増の8兆4911億円、営業利益が同42.0%減の5786億円、当期純利益が同17.9%減の7368億円となった。
連結販売台数は前年同期比6.3%減の201万3000台、トヨタ・レクサス販売台数は前年同期比7.9%減の234万2000台となった。生産拠点の稼働調整が相次いだことが販売減少の要因となった。特に電動車が半導体の需給逼迫の影響を受けやすく、納期が長期化した。
営業利益のうち、為替変動は1950億円の増益要因となった。為替レートを前年同期と比べると、1ドル=110円から130円に、1ユーロ=132円から138円にそれぞれ円安が進んだ。一方、為替変動やスワップ評価損益などの影響を除いた営業利益は、前年同期から5150億円のマイナスとなった。資材高騰の影響は3150億円となり、原価改善を加味しても2750億円のマイナスにとどまった。販売面では台数減少や構成の影響で2450億円のマイナス、諸経費の増加で1250億円のマイナスといった減益要因があった。
地域別の営業利益を見ると、日本と北米は資材高騰や販売台数の減少で大幅な減益となった。日本は前年同期比1806億円減の3376億円(営業利益率8.7%)、北米が同1291億円減の880億円(営業利益率2.6%)だった。アジアは前年のコロナ禍からの回復やタイバーツ安の影響により増益となった。中国では販売台数の減少により連結子会社が減益となったものの、持分法適用会社の持分法による投資損益は営業面の努力や原価改善の努力によって増益を確保した。
通期の業績見通しは、売上高が前期比9.9%増の34兆5000億円、営業利益が同19.9%減の2兆4000億円、当期利益が17.2%減の2兆3600億円を見込む。
直近の見通しから、売上高を1兆5000億円増、当期利益を1000億円増に上方修正した。通期の営業利益の見通しは前回の予想を据え置いたが、資材高騰の影響で前回予想から2500億円減、原価改善の項目で同1000億円減に見直したため、為替・スワップの影響を除くと3500億円の減益となる。
2021年度の業績と比較すると、資材高騰の影響は1兆7000億円の減益要因となる。台数増など営業面の努力で8150億円、原価改善で2000億円の増益要因を生み出すものの、労務費や減価償却費、研究開発費などの諸経費の増加もあり、為替やスワップの影響を除くと前年度から1兆1250億円の減益となる見通しだ。
資材価格の高騰など足元の厳しい事業環境で増えている仕入れ先の負担は「当社がいったん受け止める」(トヨタ自動車)としている。購入品の価格などについて事前に合意したルールを実行する他、「困りごとにも対応する」(同)という。
通期の想定為替レートは2022年6月の平均レートを基に円安方向に見直し、1ドル=115円から130円に、1ユーロ=130円から140円に変更した。
通期の連結販売台数は885万台で、2022年5月に発表した見通しを地域別やパワートレイン別の内訳も含めて据え置いた。トヨタ・レクサスの生産台数は通期で970万台を見込んでおり、この見通しも据え置いた。2022年4〜6月期の生産実績は212万台だったが、2022年度の後半にかけて生産を増やしていく計画だ。
2022年3月の時点で2022年4〜6月期は「意思ある踊り場」と位置付けており、現実に即した無理のない計画に見直す方針だった。しかし、半導体不足、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による仕入れ先での出勤率の低下、中国・上海での長期間のロックダウン、南アフリカの洪水、愛知県を中心とした豪雨被害などによって毎月の生産台数の下方修正を余儀なくされた。
半導体の確保など予断を許さない状況が続くが、仕入れ先と緊密に連携して見通しを上回る生産を目指すとしている。2021年度は高水準の生産計画だったのに対し、直前の減産の発表を繰り返したため仕入れ先への負担が大きかった。現在は仕入れ先には生産計画を3カ月先まで伝えることで、負担軽減を図っているという。
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