ここにきて、日系自動車メーカーの新型車はハイブリッド車(HEV)が華やかですね。例えば、今週発表された日産自動車の「エクストレイル」の新モデルは、全面改良で可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用に使うシリーズハイブリッド「e-POWER」を搭載します。欧州や中国にもVCターボe-POWERを展開しますが、日本向けがトップバッターです。
新型エクストレイルには電動車向けの新しい4WDシステム「e-4ORCE」も搭載されます。試乗して体験しましたが、コーナーではアクセルを踏めば踏むほど曲がるという不思議な感覚を味わえます。ATTO3と同じく短い試乗でしたが、「ちょっと遠出したいかも」と思わせる魅力がありました。
先週発表されたトヨタ自動車の「クラウン」の新モデルでは、パラレル方式のハイブリッドシステム「デュアルブーストハイブリッドシステム」を搭載します。レクサス「RX」に続き、2車種の採用です。発進応答性の良さやトルクの高さ、スムーズかつダイレクトなフィーリングなど、走りを強く意識したハイブリッドシステムです。
デュアルブーストハイブリッドシステムでは、排気量2.4l(リットル)の直列4気筒ターボエンジンとモーター、トルコンレスの6速ATを組み合わせています。バッテリーは以前話題になったバイポーラ型のニッケル水素電池で、バイポーラ型を実現したことも走行性能に貢献しています。
マツダの新型クロスオーバーSUV「CX-60」にも、排気量3.3lの直列6気筒(!)のディーゼルエンジンと電圧48Vのマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「e-SKYACTIV D」が設定されています(マイルドハイブリッドじゃない方の「SKYACTIV-D 3.3」がいいという方もいらっしゃるかもしれませんが)。e-SKYACTIV DはFR(後輪駆動)ベースの4WDなので、そこも他社にない魅力だといえるでしょう。
各社のこだわりのエンジンを搭載した電動車が相次いで出てくるのは本当に興味深い流れですよね。エンジンに情緒的な価値を見出す人も多いのかもしれませんが、燃費や環境性能を追求しながら走りにもこだわっていることで、試乗した人の購入を強く後押しするのではないかと思います。「HEVはラバーバンドフィーリングがちょっと……」なんていう指摘は各社とも散々受け止めてきて、その上で出てきたクルマなんだから、と期待が高まりますよね。
「BYDが日本にもEVを送り込んできたのに、日系自動車メーカーはまだエンジンやHEVにこだわるのか!」とお怒りの方もいらっしゃるのでしょうか。私は全く問題ないと思って楽しく動向を見ています。2050年にカーボンニュートラルを達成するとすれば、2049年までにエンジンを載せたクルマが引退しなければなりません。2049年に引退するクルマが新車として出荷される日は、規制がどうであれまだ先のことです。その日までHEVが環境に貢献する余地が大きいのは明らかです。
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