3Dモノづくりを行う上で、いわゆる仕事道具である“ツール選び”は重要なポイントです。連載第10回「3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選びのポイントとは?」では、PC選びからクラウドという選択肢、3Dプリンタや3Dスキャナー選びのポイントについて紹介しました。
そして、3Dモノづくりで失敗しないためには、道具(ツール)の選定と同じくらい重要なポイントがあります。それは、道具(ツール)を使いこなせる「人材の育成」です。
3Dモノづくりについて、さまざまな相談事例を紹介してきた本連載ですが、実際の業務で問題が起きた際、解決方法を考えられる人材を育てることが企業としての重要な取り組みであり、同時にエンジニア自身も、問題を自ら解決できるスキルを持った人材を目指すべきだと考えます。
人材を育てる、スキルを磨く1つの指標として資格があります。連載第11回「3Dモノづくりに役立つ資格を取得したいが、どう取り組めばよいか分からない……」では、3Dモノづくりに関する資格試験について紹介し、筆者の実体験からの合格に向けたアドバイスをしました。
3Dモノづくりを行うには、ツールも重要ですが、それを使いこなせる人材がいなければ何もできません。そして、3Dを前提とした業務フローの見直しも必要となります。
3D CADやCAE、3Dプリンタなどをそろえ、担当者が使いこなせるようになったとしても、従来の業務フローのままでは、それらをスムーズに適用することはできません。“真の3Dモノづくり”を目指すには、会社組織として、3Dデータをフル活用していくためのプロセスの見直しや業務フローの再構築に取り組まなければなりません。
3Dモノづくりを進めていき、デジタルを活用した現場改善と業務改善を行う「I.課題解決」、デジタルを活用した工場全体の最適化やサプライチェーン改革を行う「II.最適化」、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の事業創造や事業戦略に取り組む「III.価値創造」と、着実にステップアップしていってください。
過去の連載でも詳しく取り上げてきた内容とリンクしている部分も多くあるので、ぜひ掲載した関連記事も併せて一読いただき、皆さんの3Dモノづくりの実現に役立てていただければ幸いです。皆さまが3Dを活用し、より良いモノづくりが行える世界になることを心から祈っています。最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 (連載完)
テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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