連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第10回のテーマは「3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選び」だ。
皆さん、こんにちは! “テルえもん”こと、小原照記です。本連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説していきます。
それでは早速、今回のテーマを見ていきましょう。
3Dモノづくりを行うために3D CADを導入する予定なのですが、どれくらいのスペックのPCを購入すればよいでしょうか? できるだけ安くて良いものがほしいのですが……。
3D CADをはじめとする3Dソフトウェアを導入する際、併せて用意する必要のあるPCや周辺機器選びに迷われる方は非常に多いのではないでしょうか。筆者のところにもこうした相談がよく飛び込んできます。
PCを新規購入して、3D CADを動かしてみたら処理が重た過ぎて作業が進まない……となっては生産性も低下して、業務に支障をきたしてしまいます。そこで今回は「3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選び」をテーマに、そのポイントを詳しく解説したいと思います。
なお、特定業務/特定アプリケーションを使用するための“プロ向け端末(ハードウェア)”のことを「ワークステーション」と呼びますが、本稿では「PC」という表現で統一して解説を進めることとします。
既に導入する3Dソフトウェアが決まっている場合には、各ソフトウェアベンダーの公式WebサイトにPCの推奨スペックが記載されていますので、“それ以上のスペック”のものを購入することを強くオススメします。
3D CADをはじめとする3Dソフトウェアは常にバージョンアップし、便利な機能が追加されていきます。それに伴い必要なPCのスペックも上がることがありますので、予算の許す限り、できるだけ推奨スペックよりも高性能なPCを購入した方がよいでしょう。
また、当初は3D CADだけの利用を想定していても、後からCAEやCAMを追加導入することも考えられます。そういう意味でも、最初からできるだけスペックの高いPCを選ぶべきです。特に、CAEなどは非常に高いパフォーマンスが求められますので、「あのとき、なぜもっとハイスペックなPCを選ばなかったのだろうか……」と後悔しないためにも、将来のソフトウェア導入まで加味した上でPCを選定した方がよいといえます。
一方、どの3Dソフトウェアを導入すべきか、3D CADやCAE、CAMの選定から行っている場合には、連載「“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法」の第5回「3次元の設計環境とうまく付き合うには【ソフトウェア編】」を参考に検討してみてください。
相談者の方から「できるだけ安くて良いPCを教えてほしい」と聞かれることがよくあるのですが、(当たり前ですが)スペックを高くすればするほど、それに比例してPCの価格も高額になっていきます。
ここはどうしても予算との兼ね合いになりますが、まずは「最低限、これくらいのスペックのPCがほしい」と基準を決めてから、各メーカーのPCを比較検討してみるとよいでしょう。明確な基準を設けずに価格優先でそこそこのスペックのPCを買っても、目的のソフトウェアの動作が重く、やりたい作業が思うように進まないようでは、生産性も悪く、良い設計はできません。何より忙しい設計者の大切な時間をロスしてしまいますので、ハードウェアの予算確保も万全にしておきたいところです。
例えば、3D CADであれば、各ベンダーの公式Webサイトには、主にCPU、メモリ、グラフィックスカードの推奨スペックが記載されています。繰り返しになりますが、それ以上のスペックを選ぶように心掛けてください。なお、CPU、メモリ、グラフィックスカードなどの各役割については、連載「“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法」の第4回「3次元の設計環境とうまく付き合うには【ハードウェア編】」で解説しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.