3Dモノづくりで失敗しないためには、道具(ツール)の選定と同じくらい重要なポイントがあります。それは、道具(ツール)を使いこなせる「人材の育成」です。
自社の目的にマッチした使いやすい道具(ツール)を選定することも重要ですが、場合によっては“使いやすいが、機能が足りない”ということもあり得ます。そこで、いろいろな道具(ツール)を駆使した高度なアプローチで解決を図ろうとするわけですが、こうした作業には当然ながら専門知識やノウハウなど、道具(ツール)の使い手である担当者のスキルが問われます。経験からそうした知見を獲得できることもありますが、前提となる知識を得るには教育が欠かせません。
3Dプリンタや3Dスキャナーなどもそうですが、単に装置を購入して終わりではなく、メーカーや代理店などが提供しているトレーニングを活用すべきです。また、担当者がじっくりと腰を据えて学習できる時間をぜひ確保してあげてください。遠回りに感じるかもしれませんが、これこそ使いこなしの近道であり、3Dモノづくりで失敗しないためのコツとなります。
これらに加えてもう1つ重要となるのが、3Dを前提とした業務フローの見直しです。3D CADやCAE、3Dプリンタなどをそろえ、担当者が使いこなせるようになったとしても、従来の業務フローのままではそれらをスムーズに適用することはできません。“真の3Dモノづくり”を目指すには、会社組織として、3Dデータをフル活用していくためのプロセスの見直しや業務フローの再構築に取り組まなければなりません。これも推進者をしっかりと任命し、1つのプロジェクトとして実行することが重要です。詳しくは、連載「“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法」の第3回「3D CADの導入と社内展開を助け、その効果を最大化するための環境づくり」をご覧ください。
今回は、3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選びのポイントを解説しました。特に重要なことは、適切な道具(ツール)選定と人材育成(教育)の両輪を回しながら、全社における3Dモノづくりに取り組んでいくことです。過去の連載でも詳しく取り上げてきた内容とリンクしている部分も多くあるので、ぜひ掲載した関連記事も併せて一読いただき、皆さんの3Dモノづくりの実現に役立てていただければ幸いです。 (次回へ続く)
テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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