3D CADの導入と社内展開を助け、その効果を最大化するための環境づくり“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法(3)(1/3 ページ)

“脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。今回は「3次元のメリットを最大限に引き出すために必要な“環境づくり”」にフォーカスします。

» 2019年07月24日 10時00分 公開

 前回は「3次元のメリットを最大限に引き出すために必要なこと」と題し、モノづくりに関わる全員が“3次元”を活用することで、その価値を最大化できることをお伝えしました。今回は、そのための“環境づくり”について解説します。

 皆さんにとって“3D CADは何のためのツールでしょうか?” 3Dデータを作るためのツール、設計をするためのツール、業務効率化や最適化をするためのツールなど、利用する人や会社によって捉え方もさまざまかと思います。また、部門や役職によっても考え方が違うでしょう。経営側からすると今後の仕事の受注拡大や新規事業に向けた経営戦略としてのツール、現場側からするとミスやムダの削減といった業務改善のためのツールとして捉えているかもしれません。

 では、3D CADの利用シーンはどうでしょうか。詳細設計の部分で3Dデータを作成し、干渉チェックやCAEによる強度検証などに活用するモデリングツールとしての使い方、設計の仕様段階から構想設計、詳細設計までの設計ツールとしての活用、さらには、設計から加工、検査までの全工程で活用した業務全体の効率化/最適化ツールとしての使用など、さまざまな用途が考えられます(図1)。

図1 3D CADの使いどころ 図1 3D CADの使いどころ

3D CADとうまく付き合うためのポイント

 このように3D CADの使いどころは多岐にわたりますが、3D CADとうまく付き合うには、はじめに自社にマッチしたツールを選定し、導入する必要があります。

 例えば、自社で設計している形状が作成でき運用可能か、自社の設計プロセスに合わせることができるかなど、導入する前段階から“失敗しないための準備”は始まっています。また、操作性や使いやすさも現場環境によっては重要なポイントになるでしょう。

 ここで注意すべき点は、場合によって、3D CADの機能に自社の設計プロセスを合わせ込む必要があるということです。前回も説明しましたが、3次元のメリットを最大限に引き出すためには、これまでの業務フローを変える必要があります。現在のプロセスにこだわり過ぎてしまうと、3D CAD導入がかえって作業量を増大させることにつながり、社員が疲弊してしまう場合もあります。

 そうならないためには、3D CADの導入に当たり、

  • 何を達成するのか(What)
  • なぜそれを達成するのか(Why)
  • どのように行うのか(How)

を明確にし、管理(Control)評価(Check)する必要があります。これらができないと、社内での混乱やムリ、ムダ、ムラが発生し、コストアップにつながってしまいます。

 新しいツールの導入を進める上では、現場の仕事がどのように変わるのかを明確にし、関係者の不安を減らしてあげることが重要です。例えば、Before/Afterの姿として、設計スピードアップ、不具合やミスの低減、品質向上などの「効果の明確化」、現在の業務プロセスの中にどのように組み込まれるのか、誰の作業がどのように変わるのかなどの「役割の明確化」、誰が評価を行い、継続的な運用を行うか、いつ、どのタイミングで、どのような評価を行うのかといった「運用の明確化」について、しっかりと示すとよいでしょう(図2)。

図2 3D CADを導入する際に明確化する3つのこと 図2 3D CADを導入する際に明確化する3つのこと
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