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» 2022年05月02日 06時00分 公開

EV開発では「本来の目的」よりも走行距離やコスト低減が重視されている電動化

設計ソリューションを手掛けるHexagonは2022年4月19日、EV(電気自動車)の開発上の課題に関する調査結果をまとめたレポート「Recharging the Automotive Market」を発表した。自動車メーカー、ティア1からティア3までのサプライヤー416人を対象に課題や展望について調査を実施した。

[齊藤由希,MONOist]

 設計ソリューションを手掛けるHexagonは2022年4月19日、EV(電気自動車)の開発上の課題に関する調査結果をまとめたレポート「Recharging the Automotive Market」を発表した。自動車メーカー、ティア1からティア3までのサプライヤー416人を対象に課題や展望について調査を実施した。

 レポートでは、ライフサイクル全体でのCO2排出削減よりも、1回の充電で走行できる距離の拡大やコスト削減に重点が置かれていると指摘した。

 EVの設計目標別に投資動向を尋ねると、「走行距離の改善」の項目で投資を増やしているという回答が最も多かった(84%)。「価格低減」の項目でも60%が、「性能」でも58%が、投資を増やしているという回答だった。

EV開発における投資の動向[クリックで拡大] 出所:Hexagon

 その一方で、「サステナビリティ」「セーフティ」といった項目では、投資を増やすという回答よりも投資額を維持するという回答が上回ったという。サステナビリティでは55%が、セーフティでは63%が投資額を維持するという回答だった。EVの開発投資の中では、消費者にアピールできるポイントへの投資の方が優先順位が高い傾向が示された。

 例えば、Volvo Carsが2021年11月に発表したCO2排出のライフサイクルアセスメントのレポートでは、製造段階のCO2排出量は、エンジン車の「XC40」よりもEVの「C40 リチャージ」の方が70%高いことが明らかになった(※)。バッテリーや鉄鋼材料の他、アルミニウムの採用比率拡大がCO2排出量を押し上げているという。

(※)走行中のCO2排出量でその差を埋めるのも一筋縄ではいかない。レポートでは、クリーンエネルギーでC40 リチャージを充電できればライフサイクル全体でのCO2排出量は、XC40(59トン)の半分以下(27トン)になることを示した。その一方で、化石燃料での発電が60%を占めるグローバル平均のエネルギーミックスでは、C40 リチャージのCO2排出量は50トンまで増加するという。

 また、EVのCO2排出削減の障壁を尋ねると、56%が電池のレアアース代替品の不足を挙げた。次いで多かったのは、リサイクル可能な電池材料の不足(49%)、リサイクルプログラムやインフラの整備不足(47%)だった。

 HexagonのManufacturing Intelligence事業部、Global eMobility Industry 副社長のIgnazio Dentici氏は「今回の調査結果は、持続可能性には単に排出ガスを削減するだけでなく、自動車のライフサイクル全体における製造や材料への影響を理解することが必要であるということを明らかにした。しかし、このような認識にもかかわらず、自動車メーカーは、EVが環境負荷を低減するという本来の目的を確実に果たすことよりも、消費者への販売競争に対するプレッシャーのほうが強いことも判明した」とコメントしている。

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