電気通信大学は、腕の筋肉の電気活動によって制御できる人工指「第6の指(sixth finger)」を開発した。1時間ほど使用して慣れることで、自身の体の一部と感じることが可能であることを明らかにした。
電気通信大学は2022年2月15日、腕の筋肉の電気活動によって制御できる人工指「第6の指(sixth finger)」を開発したと発表した。使用に慣れることで、自身の体の一部と感じる(身体化する)ことが可能であることを明らかにした。フランス国立科学研究センターとの共同研究による成果だ。
sixth fingerは、腕の筋肉の電気活動で制御するモーターを内蔵したシステムを、手のひらの小指側に装着して使用する。脳からの運動指令が腕の筋肉に伝達されてモーターが動き、連動してsixth fingerが動くため、他の身体部位を動かす必要がない。また、手のひらとの接触面に刺激ピンを取り付けることで、指を動かした時の皮膚感覚をフィードバックすることも可能だ。
18人の被験者が、自分の指とsixth fingerの両方を使って指の曲げ伸ばしやキータッピングに1時間ほど取り組んだところ、全員が十分に思い通りsixth fingerを動かせた。さらに、sixth fingerを外した後、小指の位置に対する感覚を調べた。その結果、sixth fingerが身体化するほど、小指側の手の端の位置感覚が曖昧になることが示された。
従来の人工身体は、それを動かすために他の身体部位を動かす必要があった。sixth fingerは動きに使われない筋活動を利用するため、他の身体部位の動きと独立して制御できる。既存の身体部位から独立した新しい付加的身体を取り入れたもので、人間の身体拡張の可能性が実験的に実証された。
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