東京大学とブリヂストンは、空気圧アクチュエーターに基づいた人工筋肉について、人工筋肉のダイナミクスと機械学習法を組み合わせることで、加圧駆動時にリアルタイムで高精度に長さが推定できることを示した。
東京大学は2020年5月15日、ブリヂストンと共同で、空気圧アクチュエーターに基づいた人工筋肉について、加圧駆動時にリアルタイムの高精度な長さ推定を可能にしたと発表した。人工筋肉の柔らかさに起因するダイナミクスと、リザバーコンピューティングと呼ばれる機械学習の手法を組み合わせた。
ブリヂストンでは、ゴムチューブと繊維からなるシンプルな構造のマッキベン型人工筋肉の開発に取り組んでいる。この人工筋肉は、軽量でフレキシブルなソフトアクチュエーターであり発生力も高いが、アクチュエートした際に非線形ならびにヒステリシスを伴う応答を示す。そのため、柔らかい人工筋肉の長さ推定にも、堅いレーザー変位計などを取り付けて計測することが必要だ。
研究チームは、この人工筋肉に加える圧力とその結果として得られるゴム材質の抵抗値を用いることで、レーザー変位計の出力をリザバーコンピューティングに基づいた機械学習機にエミュレート(模倣)できることを示した。学習精度は実際のレーザー変位計の観測誤差と同程度であり、人工筋肉にかかる負荷の条件が急激に変化しても、ある程度頑健に維持された。
今回の成果により、柔らかいデバイスから堅いセンサーなどの装置を取り外せる可能性が示された。今後、歩行アシストや災害現場などでの作業援助など、人工筋肉を活用したウェアラブルデバイスへの応用に期待できるとしている。
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