Ansys 2022 R1のリリースに伴う半導体業界向けのアップデートでは、半導体設計用解析ツール「Ansys RedHawk-SC」の新機能、EMIR(Electro Migration and IR drop)解析ツール「Ansys Totem」と静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)解析ツール「Ansys Pathfinder」の新製品について紹介した。
まず、Ansys RedHawk-SCでは、動的な電圧降下のワーストケースを数カ月ではなく数時間で特定できる画期的なテクノロジーとして「SigmaDVD(Dynamic Voltage Drop)」が新たに導入された。これにより、隣接セルの全てのスイッチングシナリオをほぼ100%カバーでき、より堅固なチップ設計が可能になるという。
一方、Ansys TotemとAnsys Pathfinderに関しては、ビッグデータアーキテクチャを備え、スケーラブルなサーバコンピューティングを可能にする「Ansys SeaScape」プラットフォームをベースとした高速/大規模対応版の新製品として、超大規模アナログEMIRを実現する「Ansys Totem-SC」と、ESD解析の高速化を実現する「Ansys Pathfinder-SC」を開発した。
その他、デジタルツイン&MBSEのパートでは、2021年5月に買収したPhoenix IntegrationのMBSEソフトウェア「Ansys ModelCenter」についてや、デジタルミッションエンジニアリングをサポートし、大規模なシミュレーションを可能にする「Ansys STK」などを紹介。さらには、機械学習ベースのデータ分析と物理ベースの融合によるハイブリッドデジタルツインによる製造プロセス改善に向けた対応に関する説明が行われた。
また、Ansys製品に特化したクラウドソリューション「Ansys Cloud」に関連した新たな話題として、クラウドベースのエンジニアリングシミュレーションの変革を目的とする、Amazon Web Services(AWS)との戦略的協業について触れ、AWSを「Ansys Gateway powered by AWS」の推奨クラウドサービスプロバイダー(CSP)に認定したことを発表した。
この取り組みにより、Ansys製品のAWS上での展開が可能となり、シミュレーションのワークロードをより使いやすくするとともに、Webブラウザを使用してどこからでもソフトウェアとストレージに容易にアクセスできるスケーラビリティとフレキシビリティが得られるようになるという。「Ansys Cloudの展開とともに、クラウドの利用環境をさらに拡大していく」(同社)としている。
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