デジタルツインを実現するCAEの真価

シミュレーションソリューション活用で、月面車のデジタルツイン開発費を削減CAEニュース

Ansysのシミュレーションソリューションを活用して、Spec Innovationsが月面車のデジタルツイン開発のコストを削減した。3Dモデリングソフトウェアと組み合わせ、月面車の設計、構築、テストをデジタルエンジニアリングで実施した。

» 2021年12月24日 13時00分 公開
[MONOist]

 Ansysは2021年12月1日、Spec Innovationsが同社のシミュレーションソリューションを活用し、月面車のデジタルツイン開発のコストを削減したと発表した。SPEC Innovationsの「Innoslate」を組み合わせ、月面車の設計、構築、テストをデジタルエンジニアリングで実施している。

 Spec Innovationsは、NASAの「Break the Ice Lunar Challenge」プログラムに対応した、月面発掘を効率化する月面車のデジタルツイン開発を進めている。2030年までに月面での長期滞在を可能にする新技術を確立するため、Ansysのシミュレーションツールを活用して費用対効果の高いソリューションを開発した。

Spec Innovationsによる月面車のデジタルツイン開発 Spec Innovationsによる月面車のデジタルツイン開発 出所:Ansys

 具体的には、AI(人工知能)を活用したWebアプリケーションであるInnoslateを、3Dモデリングソフトウェア「Ansys SpaceClaim」と解析プラットフォーム「AGI Systems Tool Kit」に統合。デジタルエンジニアリングを用いて、必要な機器数とその電力消費を最少にしつつ、氷のレゴリス層を発掘して水の採掘量を増やすなど、第1の目標を達成した。

 さらに、解析ソフトウェア「Ansys」を活用し、設計解析をしながらミッションのプロセスを検証した。これらの取り組みで開発コストと時間を1000分の1に削減したことで、商用オフザシェルフ(COTS)の月面車を迅速に改良し、3Dプリンタを用いてロボットアームや収集容器、フェンダーなどの主要な部品を追加できたという。

 NASAのBreak the Ice Lunar Challengeは、システムアーキテクチャの革新に注力した第1フェーズが2020年11月〜2021年8月まで遂行された。これからスタートする第2フェーズでは、システムの設計と検証が中心になる予定だ。

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