2021年度通期の業績見通しは、2021年10〜12月に車両の減産など外部環境の影響によって前年同期から減収減益となったことを反映して下方修正した。売上収益を600億円減の5兆4800億円、営業利益を400億円減の4000億円、当期利益を350億円減の3010億円に引き下げ、2022年1〜3月も外部環境が不透明ではあるが、通期の売上収益としては過去最高を見込んでいる。
デンソーの取引先の1つであるトヨタ自動車は2021年10〜12月に生産調整を実施しており、減産の影響が大きかったが「半月、10日前に予告してくれることがありがたい。生産量を減らし続けているのではなく、挽回についていけないサプライヤーが出てきて通常レベルにとどまったというのが実態だ。トヨタ自動車の通期の生産はグローバルで900万台を超えるかどうかというところに落ち着くのではないか」(松井氏)という。
「自動車メーカーの中には、何としても生産をつなごうとして強い発注をかけたが、『やっぱり生産調整』という会社もある。早めに基準が示されることで、現場で代休を取ってもらって人数を調整し、増産に備えて後で出勤してもらうなどの準備ができる。2022年1〜3月の挽回生産に期待している。強い生産になると考えられるが、必ずつないでいきたい」(松井氏)
現在、デンソーから自動車メーカーへは遅延なく部品を納入できており、今後も関係各社と協力して遅延のないことを第一に対応していくという。コロナ禍で培った生産変動への対応力を向上させ、今後の変動への対応に備える。経営としても危機管理対応を重視しており、日々の情報アップデートから中長期のサプライチェーンの混乱の予兆管理を徹底する。需要地と供給地での在庫の分散保有、グローバル標準仕様設計による安定供給、ブリッジ生産などさまざまな方策を検討しているという。
通期の設備投資額は、直近の見通しから200億円減となる3750億円を計画する。2021年度第3四半期までの設備投資は2589億円で、電動化やADASなどの領域に投資しているが、内容を精査して対前年では抑制した。引き続き、より一層規律を持って投資を判断していく考えだ。研究開発費は2021年度第3四半期までに3643億円を投資し、計画通りに推移している。“CASE”に投資するとともに、ITインフラ活用やデジタル化、ソフトウェア開発ツールの活用による効率化を推進していく。
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