日本の自動車業界の大きな強みである「原価管理」。ぜひとも覚えておきましょう!
自動車部品メーカーで働くカッパッパです。
日本の自動車業界の大きな強みである「原価管理」。ぜひとも覚えておきましょう!
今回は「原価管理」に関する用語について説明します。世界のトップメーカー、トヨタ自動車の強みが「原価低減」であるように、自動車業界では完成車メーカーから部品メーカーまで、原価は緻密に管理されており、「原価の造り込み」が日系メーカーの強みである低価格と高品質を支えています。
設計、開発から工場まで一体となって取り組む原価管理には非常に多くの人が関わるため、自動車業界で働くのであればぜひとも抑えておきたい用語です。今回は原価管理とは果たして何か、実際にどのようにして原価は管理、低減されるのかについて説明します。
まず、製造業において製品がどのように作られ、出荷されるのかについて整理しましょう。研究・開発・設計部門による製品設計から始まり、生産技術部門が工程設計を実施し、調達部門による材料購入、工場にて生産が実施され、検査を経て、最後に製品が出荷されます。それぞれの工程には費用がかかり、その費用の合計が原価となります。原価は材料や加工の外注費や内製コスト、労務費、販売管理費などで構成されます。
構図としては「利益=販売価格ー原価」であり、利益を上げるためには原価を下げることが必要です。これを管理するのが「原価管理」です。原価管理は大きく2種類に分けられ、商品企画から製品設計・生産設計・試作までの技術段階での「原価企画」、その後の製造部門での「標準原価管理」があります。
「原価企画」とは何でしょうか? 「製品企画段階から予算や目標原価を定め、予算内で新製品を開発していき、目標利益を達成する活動」のことです。実は製品のコストの80%は、仕様を決める設計開発段階と製造工法の設定、また生産量で決まるといわれています。つまり、製品を生産する前段階で、どれだけもうかるのかはおおむね決まっているのです。そのため、初期の段階で目標原価を明確にし原価を造り込む=低減していくことが極めて重要です。原価企画は1960年ごろにトヨタで初めて活動が始まり、1966年発売の初代「カローラ」から採用されました。
では、「原価企画」とは実際にどのような活動をしていくのでしょう。企画段階では、製品コンセプトに基づいて技術面や採算性で問題がないのか検証されます。これがOKとなれば、設計開発部門で構想設計案を出し、概算原価見積もりを出して基本的な構想を確定します。これを部品ごとに細かく落とし込んでいき、実際に達成できるよう作り込んでいく……これが、設計段階での原価企画です。
なお、実際は現行車種をベースとして、新規車種の原価企画が開始されます。また海外生産される場合では日本で生産した際の原価のベースを基に、極力現地で生産して輸入のコストを下げ、一定の割合に収まるように原価企画を進めていきます。
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