空質空調社としての新たなビジネスモデルとなるのが「空質効果提案ツール」と「IoT(モノのインターネットデータ)データ/AI(人工知能)活用」によるアップデート提案である。機器導入前から機器導入後まで、一気通貫したソリューションのサイクル化を進めていく。そのモデル市場となるのが欧州で、ヒートポンプ式温水暖房機(Air to Water:A2W)のサービスをクラウドと連携したサブスクリプションモデルで提供しており、この先進的な欧州のビジネスモデルが北米など他市場にも波及していくとみている。
これらの新たなビジネスモデルを強化するため「環境テクノロジー革新」「継続顧客接点強化」「オペレーション改革」を推進する。例えば「環境テクノロジー革新」では、機器連携、融合システム、センシングによる最適制御によってエネルギーロスを極小化し、空調に使用するエネルギー量を2030年に40%削減できるとする。「継続顧客接点強化」では、これまで注力していた受注や納入のプロセスだけでなく、施工、メンテ・サービス、アップデートなどのエンジニアリング機能を、外部リソースを活用する“脱自前化”で強化する。そして「オペレーション改革」では、両事業でそれぞれ展開していたITシステムを共通化し、CRM、SCM、ECMを「できるだけ早期に統合していく」(道浦氏)方針だ。
空質空調社の売上高は、2020年度実績が6868億円、2021年度見通しが7190億円となっている。そこから年平均8.6%で成長することで2025年度売上高1兆円の達成を目指す。利益面についても、EBITDA率で2桁%を目標としている。
これらの目標達成に向けて、2025年度までに総額で1000億円規模の投資を行う。モノづくり強化として国内外6拠点を強化する。特に、欧州のチェコ拠点は先述したA2Wの強化を目的としている。また、マーケティングとエンジニアリング強化も進め、国内のエンジニアリングリソースについては、2021年度の650人から2025年度には900人以上に増やしたい考えだ。
また、事業成長で欠かせないのが、空質、空調の両事業の連携だ。その先行事例となるのが、2021年4月から中国で展開している「創新システム」で、2022年4月からは空質事業の「ジアイーノ」と空調事業の「ナノイーX」を取り込むなどした業務用空質空調連携システムの展開もスタートする。
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