パナソニックが次亜塩素酸技術による高い除菌・脱臭力を特徴とする「ジアイーノ」の事業戦略について説明。非住宅向けとなる、除菌、脱臭に加湿の機能も備えた新製品「天井埋込形ジアイーノ」を2022年4月1日に発売する。これによって非住宅向けの展開を拡大し、ジアイーノ事業の売上高を2025年度に500億円に伸ばしたい考えだ。
パナソニックは2022年1月12日、東京都内で会見を開き、次亜塩素酸技術による高い除菌・脱臭力を特徴とする「ジアイーノ」の事業戦略について説明した。医療施設やオフィスなど非住宅向けとなる、除菌、脱臭に加湿の機能も備えた新製品「天井埋込形ジアイーノ」を同年4月1日に発売する。これによって非住宅向けの展開を拡大し、ジアイーノ事業の売上高を2020年度の124億円から2025年度には約4倍となる500億円に伸ばしたい考えだ。
2021年10月に同社が発表した新たな事業体制において、ジアイーノ事業は、くらし事業本部の空質空調社で、エアコンを除く各種空調機器を手掛けるパナソニック エコシステムズのIAQビジネスユニットが統括している。パナソニック 空質空調社 副社長でパナソニック エコシステムズ 社長の小笠原卓氏は「室内空気質であるIAQ(Indoor Air Quality)の事業では、空気質の改善による健康寿命の延伸と労働生産性の向上、そしてコロナ禍で注目を集めたパンデミックへの対応で社会課題の解決に貢献していく。中でも、パンデミック対応の除菌の観点で大きな役割を果たすのがジアイーノだ」と語る。
1987年から三洋電機が培ってきた次亜塩素酸技術にパナソニックのフィルター技術などを組み合わせて、2013年に除菌と脱臭に特化したジアイーノを発売した。当初は、家庭用だけだった単品(スタンドアロン)製品も、オフィスや店舗で使用できるようにより広い面積に対応した業務用を投入。2020年には、単品製品で必要だった定期的な排水作業が不要になる水道直結型を開発し、非住宅向けの皮切りとなる設備化に乗り出している。また、同じく2020年から中国、香港向けで海外展開もスタートさせており、2021年には台湾、タイ、マレーシア、ベトナム、UAEなど東南アジアと中東での販売を開始した。今後は、北米や欧州市場への展開も視野に入る。
ジアイーノ製品の開発力を高めるため、パナソニック エコシステムズの空質関連機器の製造開発拠点でもある本社(愛知県春日井市)に「IAQ検証センター」を設立する。敷地面積は2033m2、延べ床面積は3422m2で、投資金額は14億円だ。
IAQ検証センターは、実使用環境におけるジアイーノの次亜塩素酸技術の効果を検証することを目的としている。業界初となる、BioSafety Level 2(BSL2)の試験室と実空間除菌試験室を備えている。さらに、住宅丸ごと温度や湿度を調整することで、さまざまな国、地域、気候、季節などに合わせた設備用ジアイーノの開発が可能になる空質空調検証室も設置した。
なお、BSL2の試験室は、はしかやインフルエンザのウイルスを取り扱い可能であるものの、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)についてはBSL3となるためIAQ検証センターでの効果検証は難しい。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大と大きな関わりがあるとされるエアロゾル(浮遊菌)に対する除菌効果の測定などに応用可能だ。「同様の検証が可能なBSL3の施設は国内にはなく、BSL2に限ってもIAQ検証センターが国内初になる」(パナソニック エコシステムズ)という。
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