キーワードは「専鋭化」、持ち株会社制に移行するパナソニックの事業強化策製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パナソニックは2020年11月17日、経営方針説明を開催し持ち株会社制への移行や新体制での方針などについて説明した。

» 2020年11月18日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 パナソニックは2020年11月17日、経営方針説明を開催し持ち株会社制への移行や新体制での方針などについて説明した。

2022年度に持ち株会社制に移行

 パナソニックは2020年11月13日に、同社常務執行役員でオートモーティブ(AM)社 社長が2021年4月1日付けで代表取締役社長に就任する社長就任人事と、2022年度に持ち株会社制に以降する新体制について発表。現在の「パナソニック株式会社」を持ち株会社「パナソニックホールディングス株式会社」とし、従来7つの社内カンパニーとして運営してきた体制を、主に4つの子会社に担わせる体制に再編する。そして、ホームアプライアンス事業、空調・空質事業、食品流通事業、電気設備事業、中国・北東アジア事業をまとめて、新しい「パナソニック株式会社」とし、ホールディングス会社の傘下に置く。

 4つの主力子会社は、この「パナソニック株式会社」の他、現在コネクティッドソリューションズ(CNS)社で展開する「現場プロセス事業」、インダストリアルソリューションズ社(IS)社で展開する「デバイス事業」、電池事業などの「エナジー事業」である。その他、オートモーティブ事業、スマートライフネットワーク事業、ハウジング事業などもそれぞれ子会社としてホールディングス会社の傘下に入る。また、新たにこれらの事業子会社の運営をまとめて支援する「プロフェッショナルサービス」についての子会社も設置する。

photo 持ち株会社制による新体制の概要(クリックで拡大)出典:パナソニック

 持ち株会社制を含む新体制への移行について、パナソニック 代表取締役社長兼CEOの津賀一宏氏は「2019年5月の中期戦略では3事業区分によるポートフォリオマネジメントと、経営体質の徹底強化という2つの方向性で取り組みを進めてきたが一定の成果を生み出しつつある。しかし、今後徹底的な事業競争力の強化を考えた場合、会社の形を抜本的に見直す必要があると考えた。現在の中期計画により基幹事業が明確になりつつある。その中で伸ばすべき事業の競争力を高め持続的に発展する姿を目指す」と述べる。

photo パナソニック 代表取締役社長兼CEOの津賀一宏氏

 さらに「そのためには個々の事業がスピード感を持ち、挑戦する体制を作らなければならない。現場を活性化することが何より重要だ。そのためにはガバナンス面や間接機能の在り方なども考え直す必要があった」と津賀氏は新体制に変更する理由を述べる。

 これらの考えから、従来の社内カンパニー制からそれぞれの事業を企業として独立させる。1つの企業としてのスピード感を持たせるようにすることが狙いである。「各事業に大胆に権限移譲をして各事業が自主独立経営とする。パナソニックホールディングスおよびプロフェッショナルサービスでこれらの事業運営を支える形とする」(津賀氏)。これにより、事業の専門性と先鋭化の両方を強化する「専鋭化」を進めていく考えだ。

 具体的には「意思決定の専門性とスピードの強化」を進める他、「業界での競争力の徹底強化」を掲げ、業界に適した人事制度の適用などを行う。また、グループとして「競争力のある間接機能の実現」を推進していく。

 パナソニックの経営体制として、従来も社内カンパニー制で権限移譲を進めているという説明があったが、「社内カンパニー制とホールディングス体制は似ているようで異なる。まず1つは数の話がある。かつての事業部制であれば、例えば10の事業部があればそれぞれの事業から10人が出て経営方針を決めることになるが、これは経営のスピード感という意味では効率が悪い。一方でそれを絞りすぎて、現場の手触り感がない中で経営を行うのは非常に危険だ。深い理解を得るためには分割が必要だが経営判断の効率が悪くなる中で、バランスをどう取るかが重要だ。社内カンパニー制による社内分社で整流化をしてようやく今にたどり着いた」と津賀氏は考えを述べている。

 また「オートモーティブ」「ハウジング」「スマートライフ」を切り離し、主力4事業に含めなかった理由については「シナジー効果を考えてパナソニック株式会社に入れるという発想もあったが、議論を重ねて今回の形となった。専鋭化という意味では、競合他社に勝たなければシナジー効果も発揮できない。まずは事業単独での競争力強化を図る。競争力が強化でき、単独の事業で強さを実現した上で横の連携を行うという形が理想だ」と津賀氏は述べている。

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