日本マイクロソフトは2021年12月7日、同社が取り組むAI(人工知能)についての取り組みについての説明会を開催。AIについての動向とともに、新たにサービスを開始した「Azure OpenAI Service」について説明した。
日本マイクロソフトは2021年12月7日、同社が取り組むAI(人工知能)についての取り組みについての説明会を開催。AIについての動向とともに、新たにサービスを開始した「Azure OpenAI Service」について説明した。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は「技術進化や新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、劇的な転換が起きようとしている。全ての企業がソフトウェア企業でありAI企業になる時代。伝統的な企業でもデータを中心に新たな価値を創出し、新たなサービスやツールを提供することが求められている」とAIを取り巻く環境について語る。
こうした中で、日本マイクロソフトではAIをビジネスに実装しイノベーションを生み出す仕組み作りに力を注ぐ。具体的には「AIを利活用する」「AIですぐに対応する」「可能性を再考する」の3つのポイントでビジネス実装を推進している。「AIを利活用する」はイメージしやすいが、「AIですぐに対応する」は業務課題の特定や知見の蓄積に対しAIを活用して行うことを指す。AIにより業務分析や業務改革を進める仕組みである。「可能性を再考する」は、自動から自律への転換のように、AIを前提とした新たな社内外の大規模な枠組み作りを進める取り組みを示す。
上原氏は「AIをさまざまな形でビジネスに実装する仕組みを提供することで、イマジネーションを加速させ、イノベーションを実現し、結果としてビジネスが成長する」と語る。これらのさまざまな活用に合わせた幅広いポートフォリオを持つことがマイクロソフトの特徴だ。
また、AIは学習をベースに推論を作り出すが、その中身がブラックボックス化することへの懸念が指摘され、倫理的な問題なども指摘されている。この点について、マイクロソフトでは「プライバシーとセキュリティ」「包括性」「アカウンタビリティ」「透明性」「公平性」「信頼性と安全性」という、AIに関する「6つの原則」を示し、AIに対する不安払拭を進める方向性について訴えた。
AIポートフォリオの中核を担うクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure(以下、Azure)」上でのAI活用について、日本マイクロソフト Azureビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの小田健太郎氏が説明し、新たにサービスに加えた「Azure OpenAI Service」について説明した。
OpenAIは、自然言語モデルプラットフォームである「GPT-3」を展開しているが、マイクロソフトでは、これらの機械学習モデルをAzure上で活用できるようにするAzure OpenAI Serviceを2021年11月に発表した。OpenAIの自然言語を理解し要約する機能を活用することで、リアルタイムでの人とのコミュニケーションを実現するアプリ開発などを容易に行えるようになる。わずか数分でプロトタイプの構築が可能で、事業規模に合わせたスケーリングなども可能となる。また、エンタープライズレベルのセキュリティが確保できる点もポイントだ。現在はAzure OpenAI Serviceは招待制で運用されており、限られたユーザーでの検証などが進められているところだという。「ただ、英語での学習が中心であるため日本語の活用についてはまだ発展途上だ」(小田氏)としている。
現状では、AIの活用領域として「ナレッジマイニング」「会話AI」「ドキュメントプロセスの自動化」「機械翻訳」「音声の文字起こしと分析」が5つのビジネスシナリオとして提案されているが、上原氏は「以前のAI活用の方向性と現在を比べると、AIが製品の中にさまざまな形で実装されていく状況になっている。AIや機械学習を意識して実装するというよりもテクノロジーの裏側にAIが活用されているという状況になってきた。テクノロジー分からなくてもアプリケーションを構築できる世界が広がってきている」と上原氏は環境の変化について語っている。
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