フォー・ノーツが、「50代社員に関する意識調査」の結果を発表した。20〜40代の社員は、50代社員の会社への貢献度や期待する能力について、50代自身よりも評価していることが分かった。一方で、課題と感じている点には世代間でギャップがあった。
総合人事コンサルティングのフォー・ノーツは2021年11月15日、「50代社員に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は、20〜40代のオフィスワーカー300人(各年代100人)、50代のオフィスワーカー100人の計400人を対象とした。
初めに、20〜40代の社員に「あなたの職場にいる身近な50代の社員は、どのような点で会社に貢献していると思いますか」、50代の社員には「あなたはどのような点で会社に貢献していると思いますか」と尋ねた。
その結果、「新たな知識やスキルを素早く獲得する学習能力」と「特にない」を除く全ての項目で、20〜40代は50代自身よりも50代を高く評価していた。
「組織をまとめあげる強いリーダーシップ」において、50代社員が会社に貢献していると考えている割合は、20〜40代が33.3%、50代が11.0%となり、50代自身に比べて、20ポイント以上高くなっている。「特にない」は20〜40代が22.7%、50代が29.0%と50代が6.3ポイント高く、50代の自己評価の低さ、自信のなさがうかがえる結果となっている。
20〜40代と50代で比較的ギャップが小さかった項目は、「豊富な経験に基づく、的確な判断能力と危機管理能力」「長年の経験によって身につけた専門性の高い知識や高度なスキル」だった。
次に、20〜40代の社員には「職場にいる身近な50代の社員に、期待する能力はどのような点ですか」、50代には「あなたが20〜40代の社員から期待されている能力は、どのような点だと思いますか」と尋ねた。その結果、この質問でも「新たな知識やスキルを素早く獲得する学習能力」「特にない」以外の全ての項目で、20〜40代が50代自身よりも高くなっていた。また、多くの項目で10ポイント以上の差があり、20〜40代は50代自身よりも50代の能力に期待しているようだ。
期待する能力について、「特にない」を見ると、20〜40代が16.7%、50代が22.0%となり、20〜40代に比べ50代が5.3ポイント高かった。こちらも50代の自己評価の低さ、自信のなさがうかがえる結果となっている。また、「貢献していると思う点」と同様に、「豊富な経験に基づく、的確な判断能力と危機管理能力」「長年の経験によって身につけた専門性の高い知識や高度なスキル」に関する認識は、20〜40代と50代で比較的キャップが小さかった。
仕事をする上での課題についても尋ねた。20〜40代の社員には「50代の社員について、仕事をする上でどのような点を課題と感じているか」、50代社員には「仕事をする上でどのような点を課題と感じているか」と尋ねた。すると、「(50代社員は)デジタルツールに対応できない」を課題だと感じている20〜40代は29.3%だったが、50代は9.0%しか感じていなかった。
「セクハラ、パワハラなど周囲への配慮に欠けた振る舞いをする」については、課題だと感じている20〜40代が19.0%、50代が5.0%となり、認識に差があった。「デジタルツールに対応できない」「周囲への配慮に欠けた振る舞いをする」という2項目に関して、50代は20〜40代よりも課題と感じている割合が低く、世代間の課題認識にギャップがあった。
また、「組織の方針に対して、積極的に取り組めない」の項目は、20〜40代が14.0%、50代は23.0%となり、20〜40代より50代自身の方が1割ほど高かった。「特に課題と感じる点はない」と回答した割合は、50代が20〜40代より2.7ポイント高くなっている。仕事をする上で「特に課題と感じる点はない」と50代の44.0%が感じていることから、50代は自身の能力や振る舞いに対する課題認識が甘い様子がうかがえる。
次に、20〜40代には「50代の社員は、今後新たなスキルや知識を身につけたり、未経験の仕事に取り組むことができると思うか」、50代には「今後、新たなスキルや知識を身に付けたり、未経験の仕事に取り組むことができると思うか」を尋ねた。
その結果、「若い社員以上にできる」と「若い社員と同様にできる」の合計が20〜40代は59.0%で、6割近くが50代社員について、若い社員と同等かそれ以上に新しいことへ取り組む能力があると評価していることが分かった。一方、50代は「若い社員以上にできる」と「若い社員と同様にできる」の合計が50.0%で、新しいことへの挑戦に対する自信がないことがうかがえる。
また、「50代の社員に、今後新たなスキルや知識を身につけたり、未経験の仕事に取り組んでほしいと思うか」、50代には「今後新たなスキルや知識を身につけたり、未経験の仕事に取り組んでいきたいと思うか」を尋ねた。
20〜40代は「ぜひ取り組んでほしい」が28.7%、「できれば取り組んでほしい」が59.0%で、合わせて9割近くが、50代に対して新しいことに取り組むことを期待していることが分かった。50代自身は33.0%が「できれば取り組みたくない」と回答。50代は若い世代から期待されているにもかかわらず、新しいことに取り組むことに消極的であることがうかがえる。
続いて、仕事の成果と比べて給料が適正だと思うかを尋ねた。50代の38.0%が「50代の社員の給料は、仕事の成果と比べて低いと思う」と回答したのに対し、20〜40代の同回答は10.3%で、世代間の認識にギャップが見られた。
今回の調査を通じて、一般的なイメージとして「窓際社員」「リストラ候補」などネガティブな文脈で語られることの多い50代社員が、20〜40代の世代からは肯定的な評価を受けていることが分かった。一方で、50代社員の自己評価の低さ、自らのスキルや経験に対する自信のなさも見られた。また、新しい取り組みへの意欲、「デジタルツールへの対応」や「周囲への配慮に欠けた振る舞い」などに対する課題認識、自身の給与に対する感覚など、他世代と大きく乖離している回答もあった。
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