bZ4Xのインテリアでは、メーターがステアリングの上側から見えるようにした「トップマウントメーター」や、ダイヤル式シフトもトヨタ初の技術です。
個人的な注目ポイントは、2016年発売の「プリウスPHV」で採用されたソーラールーフがまだ生きている! というところです。プリウスPHVのソーラー充電システムは晴天で好条件な場所に1日放置して最高5km、平均して2.7kmを走行できる分の電力を生みます。停車中は駆動用バッテリーに、走行中は12Vのバッテリーに電力を供給するシステムでした。
bZ4Xのソーラールーフは、年間1800kmの走行距離に相当する発電が可能だとしています。単純に365日で割ると、1日4.9km分の電力です。システムとしてかなり改善したのでしょうか? 詳しく取材する機会が待ち遠しいです。
「ソーラーパネルをクルマに」というアイデア自体は以前からありましたが、さまざまな課題が実現を阻んでいました。詳細は和田憲一郎氏による連載をぜひご覧ください(関連記事:ようやく見えてきた、車載ソーラーパネル採用の兆し)。
もう1つのEVのプロジェクトにも注目です。日本郵政、日本郵便、東京電力ホールディングス、三菱自動車による、郵便局のカーボンニュートラル化に向けた取り組みです。
栃木県の小山郵便局と、静岡県の沼津郵便局で、三菱自の軽EV「ミニキャブミーブ」と、ホンダの電動バイク「BENLY e:(ベンリィ イー)」を複数台導入するとともに、急速充電器や普通充電器の設置、郵便局の建屋での太陽光発電、再生可能エネルギーによる電力への切り替え、災害時のEVによる外部給電など、かなり網羅的な実証実験を行います。ミニキャブミーブの走行データやバッテリーの情報も収集します。
佐川急便が集配用の軽自動車をEVに切り替える、それもEVベンチャーと共同開発し、中国の自動車メーカーが生産する、と発表した際には、自動車メーカーの軽商用EVはどうなっているのかと話題になりました。しかし、ミニキャブミーブの歴史は決して昨日今日のものではありません。
2011年に発売して以来、今も郵便局の業務で使われているのを街で見かけます。配達業務にミニキャブミーブを使う人たちは、課題や改善点をたくさん知っているはず。さらに、「郵便局のカーボンニュートラル」という大きな全体像で実証実験を行うのは、商用EVに取り組む上で大きな強みになることでしょう。
「○○は出遅れている」という意見はそこかしこで目にします。EVは特にそんな切り取り方が多いです。地に足の着いた取り組みによって、そうじゃないと分かるのはうれしいですね。
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