三菱電機は2021年9月21日、特許明細書から当該技術が脱炭素関連技術であるかをAIで判定する手法を、日本特許情報機構と共同開発したことを発表した。さらに同手法を用いて、脱炭素関連技術の特許出願企業ランキングを作成し、公開した。
三菱電機は2021年9月21日、特許明細書の内容が脱炭素関連技術であるかをAI(人工知能)で判定する手法を、日本特許情報機構(Japio)と共同開発したことを発表した。さらに同手法を用いて、脱炭素関連技術の特許出願企業ランキングを作成し、公開した。
現在、世界中でカーボンニュートラル実現に向けて、産業界での具体的な取り組みが加速している。こうした取り組みを円滑に進める上では、脱炭素に関わる既存、新規技術を整理、俯瞰(ふかん)することで新たなイノベーションにつなげていくことが重要になる。
ただ、脱炭素関連技術は対象となる範囲が広く、関わる産業分野も多岐にわたる。さらに、現時点では特許検索などで活用する特許番号にさまざまな「脱炭素技術」を一元的に把握できるような番号が用意されておらず、このため脱炭素関連技術を網羅的に捉えることが難しかった。
そこでJapioの知財AI研究センターは、グーグルの自然言語処理技術「BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)」を活用して特許証明書の読み込みを行うAIを開発した。脱炭素関連技術の知見を有する三菱電機の技術者などが、特許明細書が共同特許分類(CPC:Cooperative Patent Classification)の分類である「Y02」と「Y04」に対応するかを目視で確認し、それらをAIの学習データとして採用した。マスク後予測と次文予測の学習をさせることで、特許明細書の情報から脱炭素関連特許を判定できるAIモデルを作成したという。
このAIモデルを用いてJapioは、「エネルギー関連産業」「製造・輸送関連産業」「家庭・オフィス関連産業」の3分野と、それらを併せた「総合」の合計4カテゴリーでの特許出願企業ランキングを作成した。これら3分野は、経済産業省が2021年に発行した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中でカーボンニュートラルの取り組みが重要だと指摘されている14の産業分野から選んだものである。
AIモデルは当該特許出願が脱炭素関連技術に当てはまるかを1件ずつ判定し、判定の確度を0から1の間の値で算出する。1に近いほど、その特許が脱炭素関連技術に該当する可能性が高いということになる。これらの数値を出願人ごとに算出、総合して、数値の高い順に順位付けを行った。
ここでは製造・輸送関連産業のランキングを紹介する。なお、同ランキングでは国内の特許庁に出願された特許から算出した数値を参照している。2019年の1位はトヨタ自動車で、2位はホンダ、3位はキヤノンとなった。以下、デンソー、パナソニックIPマネジメント、ディスコ、豊田自動織機、SUBARU、マツダ、東芝と続く。
トヨタ自動車は2010年から2019年まで10年連続で1位となっている。ホンダは2018年に3位だったが2019年は順位を1つ上げた。キヤノンは2018年の2位から順位を1つ落としている。この他、ディスコやSUBARUなどは2018年までは10位圏外だったが、2019年には圏内に浮上するなどの動きがあった。
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