特許庁は2021年8月30日、国内外におけるAI関連技術の特許出願状況に関する最新の調査レポートを公開した。機械学習技術などを中心とする「AI関連発明」の出願件数が近年急速に伸びている。
特許庁は2021年8月30日、国内外におけるAI(人工知能)関連技術の特許出願状況に関する最新の調査レポートを公開した。機械学習技術などを中心とする「AI関連発明」の出願件数が近年、急速に伸びていることが分かった。また、レポートには企業別の出願件数ランキングも掲載されている。
調査対象となったのは、1988〜2019年の期間中に国内出願、またはPCT(特許協力条約)に基づく国際出願が行われた5万2467件の「AI関連発明」の特許である。AI関連発明とは同調査における独自のカテゴリー定義だ。具体的には、ニューラルネットワークや深層学習などの各種機械学習技術に加えて、知識ベースモデルやファジィ理論などAIの基礎となる数学/統計的な情報処理技術を含めた「AIコア発明」と、画像処理や音声処理、自然言語処理などの各種領域にAIの基礎となる数学/統計的な情報処理技術を適用した「AI適用発明」の2カテゴリーで構成されている。
AI関連発明の出願件数は近年急速に伸びている。2014年には1084件であったが、その5年後である2019年には5045件となった。
特に、深層学習技術など機械学習技術の出願件数は大きく増加した。2019年には、特許庁独自の特許分類(FI、ファイルインデックス)の1つである「G06N」(「特定の計算モデルに基づくコンピュータ・システム」)の中で、機械学習に関わる技術領域(G06N3/02〜3/10、G06N20)の出願件数は、AI関連発明の出願件数全体の約90%を占めている。なお、「深層学習に言及したAI関連発明」というくくりを見ると、2019年には2255件と同年のAI関連発明出願件数の約44.7%を占めていることが分かる。
2010年を基準として2019年までの出願件数の伸び率をFI別に算出すると、最も伸び率が高かったのは制御/調整系に関する「G05B」(「制御系または調整系一般」など)だった。次いで、交通制御に関する「G08G」(「交通制御システム」)、画像処理技術に関する「G06T」(「イメージデータ処理または発生一般」)も伸び率が高かった。
レポートでは企業別のAI関連発明の国内出願件数も掲載している。出願件数は、2014年以降に出願されて2021年5月までに公開されたものを対象としてカウントした。
AI関連発明の出願件数首位はNTTで788件だった。これに続いて上位10社までを並べると、富士通(764件)、日立製作所(521件)、キヤノン(478件)、ファナック(391件)、トヨタ自動車(372件)、東芝(304件)、NEC(262件)、三菱電機(249件)、KDDI(246件)となる。
また「深層学習に言及したAI関連発明」の出願件数を上位10社まで並べると、順にNTT(333件)、富士通(322件)、キヤノン(304件)、ファナック(235件)、日立製作所(200件)、東芝(144件)、ヤフー(136件)、オムロン(122件)、KDDI(113件)、三菱電機(106件)となる。
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