九州大学は「久山町研究」の追跡調査の成績を用いて、10年後の認知症発症リスクを予測するためのツールを開発した。健康診断で測定可能な因子と喫煙習慣や日中の活動量、生活習慣病などから、10年後の認知症発症確率を高い精度で予測できる。
九州大学は2021年7月30日、「久山町研究」の追跡調査の成績を用いて、10年後の認知症発症リスクを予測するためのツールを開発したと発表した。
久山町研究とは、福岡県久山町の住民を対象とした、認知症、脳卒中、心血管疾患、悪性腫瘍など生活習慣病の疫学調査で、50年以上にわたって続いている。今回の予測ツールの開発では、認知症のない65歳以上の久山町住民約800人を24年間追跡調査し、健康診断で測定可能な因子をもとに認知症の発症確率を予測する統計的予測モデルを検討した。
その結果、喫煙習慣や日中の活動量、高血圧や糖尿病などの生活習慣病などから、10年後の認知症発症確率を高精度で予測できた。モデルで予測した発症割合と実際の発症割合はほぼ一致していた。また、この予測モデルを元に、自分で簡単に計算できる簡易スコアも作成した。
認知症は世界的に患者数が増加している。今回の研究成果は、発症リスクの高い人を発症前に早期発見する適切な予防的介入やケアの導入を検討する上で、重要なツールとなり得る。
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