東北大学は、低出力パルス波超音波がマウスのアルツハイマー型認知症モデルにおいて認知機能低下を抑制する可能性があることを見出し、2018年6月より医師主導治験を開始した。
東北大学は2019年3月14日、低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)がマウスのアルツハイマー型認知症モデルにおいて認知機能低下を抑制する可能性があることを見出し、2018年6月より医師主導治験を開始したと発表した。同大学大学院医学系研究科 教授の下川宏明氏らの研究グループによるものだ。
アルツハイマー型認知症には症状改善薬はいくつかあるが、根本的な解決策となる治療法が確立されていない。そのような中、低侵襲性治療とされるLIPUS治療が、認知症に対する新たな治療手段として研究が始まっている。
同研究グループは、以前より虚血性心疾患に対するLIPUS治療の有効性と安全性を動物実験レベルで報告してきた。低出力パルス波超音波を全脳に照射すると、認知機能低下が抑制される可能性があることを2種類の認知症モデルマウスにおいて確認。アルツハイマー型認知症の動物モデルでは、アミロイドβの蓄積を著明に減少させた。
この研究結果に基づき、2018年6月から軽度アルツハイマー型認知症の患者を対象に、プラセボ治療群を対照群とするLIPUS治療の有効性と安全性を評価する探索的医師主導治験を開始した。
今回、安全性の評価を主に、患者5人を対象としたRoll-in群の観察期間(治験の第1段階)が終了し、効果安全評価委員会でその安全性を確認。2019年4月から、有効性の評価を主に、患者40人を対象としたRCT群の治験治療を開始する(治験の第2段階)。治験は3カ月ごとに行い、全観察期間は18カ月。主な有効性評価項目は、認知機能試験および行動試験で、安全性の評価として頭部MRI検査を実地する。
将来的には、検証的治験の実施、薬事承認申請を目指すとしている。
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