飛沫抑制と通気性を両立させた快適マスクの開発プロジェクト始動医療機器ニュース

慶應義塾大学、花王、鹿島アントラーズ・エフ・シー、産業技術総合研究所は、共同プロジェクトを開始した。「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、感染予防効果と快適性を評価する。

» 2021年06月04日 15時00分 公開
[MONOist]

 慶應義塾大学は2021年5月24日、花王、鹿島アントラーズ・エフ・シー、産業技術総合研究所(産総研)と、共同プロジェクトを開始すると発表した。「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、感染予防効果と快適性を評価する。

→特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」

 同プロジェクトでは、花王が開発したプロトタイプを含む複数の不織布製マスクについて、実験室で飛沫抑制効果や快適性を評価する。また、茨城県立カシマサッカースタジアムにおいても、マスク着用時の快適性を検証し、これらの結果に基づいてマスクを改良する。

 具体的には、マスクを透過する飛沫量を微粒子可視化システムで可視化し、パーティクルカウンターなどで定量化する。そこから実際の使用シーンを踏まえた飛沫抑制効果を同大学で検証するとともに、アンケートで着用時の快適性も調べる。花王では、呼吸シミュレーションやマスク隙間部の空気流体解析などから、呼吸時の飛沫抑制効果を検証する。

キャプション 微粒子可視化システム 出典:慶應義塾大学
キャプション パーティクルカウンター 出典:慶應義塾大学
キャプション 呼吸シミュレーション 出典:慶應義塾大学

 また、同スタジアムで開催される鹿島アントラーズの試合において、スタッフや警備員など数百人にプロトタイプのマスクを着用してもらい、さまざまな気象条件で快適性の評価や着用状況の観察を実施する。これらの検証結果から、花王はプロトタイプマスクをさらに改良し、産総研は着用時の感染リスク低減効果を評価する。

 新型コロナウイルスへの感染予防に必要な飛沫抑制については、不織布製マスクを隙間なく着用することが有効な手段とされているが、不織布製マスクは快適性、通気性に課題があり、そのために適切に着用されていないケースも見られる。

 同プロジェクトでは今後、サッカーの試合の観客を対象とした着用時の快適性評価も視野に入れており、快適性とマスク着用方法の関係を評価し、大規模イベントの安全な開催を目指す。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.