リクルートワークス研究所が、「全国就業実態パネル調査2021」の臨時追跡調査の結果を発表した。1回目の緊急事態宣言下で急速に伸びたテレワーク実施率は、2回目の宣言下で減少していることが分かった。
リクルートの研究機関であるリクルートワークス研究所は2021年5月12日、「全国就業実態パネル調査2021」の臨時追跡調査の結果を発表した。
同調査は、2回目の緊急事態宣言下での人々の働き方を把握することを目的としたものだ。調査対象者は、2019年12月時点で20〜59歳の就業者で、かつ「全国就業実態パネル調査2020」とその「臨時追跡調査」、「全国就業実態パネル調査2021」とその「追加調査」の全てに回答した人。そのうち8587人から有効回答を得た。
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はじめに、「テレワーク実施率」について調べた。「テレワーク実施率」は1回目の宣言下で急速に伸びて32.8%となったが、宣言解除後に18.1%まで減少。2回目の宣言下でも25.4%にとどまっており、テレワークをはじめとする新しい働き方への移行は宣言解除後に後退し、2回目の宣言が発出されても、大きく伸びることはなく減速傾向が見られた。
「テレワーク実施率」を就業形態別に見ると、2回目の宣言下で最も割合が高かったのは「派遣社員」(30.6%)で、「正規の職員、従業員」(27.9%)を上回っている。また、業種別に見ると、「情報通信業」「不動産業」「製造業」「金融、保険業」は、宣言解除後もテレワークを継続して実施している割合が比較的高く、定着の兆しが見えた。
続いて、「宣言下にテレワークをしなかった理由」を尋ねた。1回目の宣言下も2回目の宣言下も、最も多かったのは「職場でテレワークが認められていないため」で(1回目の宣言下は56.7%、2回目の宣言下は56.4%)、職場要因でテレワークができないという状況に変化はなかった。
また、1回目の宣言解除後となる2020年5月中旬以降に勤め先で実施されたことを選んでもらったところ、最も選択率が高かったのは「あてはまるものはない/わからない」(64.4%)だった。実施された項目では「労働時間制度(裁量労働制、フレックスタイム制、コアタイムなど)の見直し」(12.9%)、「テレワーク日数の制限の見直し」(11.9%)、「対面研修のオンライン化推進」(8.6%)が比較的高かった。
次に「2回目の宣言下での職場のテレワーク率」を調べた。職場でテレワーク勤務をしている人の1日あたりの割合は、「ほぼいない」(63.6%)が最も高かった。実施している割合は「ほとんど全員(100%テレワーク)」が2.1%、「80%以上」が3.6%、「50%以上80%未満」は7.2%で、合わせても12.9%にとどまった。
宣言下での働き方に関する「職場の方針」を1回目と2回目で比較したところ、「時差出勤推奨」は16.2%から9.8%に、「勤務日数、時間の縮小要請」は14.1%から6.3%に、「自宅待機要請」は10.8%から2.4%といずれも減少している。
1回目と2回目の宣言下における、「休業要請」の有無と「休業手当を受け取った割合」についても調べた。「(職場から)要請されて休業した」と回答した人は、1回目の宣言下は18.6%だったが、2回目の宣言下では5.5%に減少している。「要請されて休業した」人のうち、勤務先からの休業手当を受け取った割合は、1回目の宣言下は62.1%、2回目の宣言下では69.0%と増加した。
「収入の増減」については、コロナ前である2019年12月と比較して「収入が減った」の割合は、宣言1回目の2020年5月は31.7%、宣言2回目の2021年1月では25.3%と減少傾向が見られた。「収入が減った」割合は業種によって大きく異なり、2020年5月に「減った」割合が高かった「飲食店、宿泊業」(66.2%)や「運輸業」(41.8%)は、2021年1月も収入減が続いている(飲食店、宿泊業が51.2%、運輸業が40.4%)。
また、働いていた日の1日の「家事、育児時間」は、宣言下では男女ともに増加傾向が見られた。「特別定額給付金の使用状況」は、年収が高いほど「全く使用しなかった(全額貯蓄した)」の割合が高くなる傾向があった。
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