ホンダが技術ライセンス提供の窓口Webサイトを設置、まずは10技術を公開知財ニュース

ホンダは、同社の持つ技術をライセンス提供するための窓口となるWebサイトを公開した。公開時点では、内田洋行のオフィスチェアに採用された抗ウイルス・抗アレル物質布地「アレルクリーンプラス」をはじめ10の技術がライセンス提供の対象となっており、問い合わせフォームからライセンス契約の相談が可能だ。

» 2021年04月07日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ホンダは2021年4月5日、同社の持つ技術をライセンス提供するための窓口となるWebサイトを公開した。公開時点では、内田洋行のオフィスチェアに採用された抗ウイルス・抗アレル物質布地「アレルクリーンプラス」をはじめ10の技術がライセンス提供の対象となっており、問い合わせフォームからライセンス契約の相談が可能だ。

ホンダの技術ライセンス提供の窓口となるWebサイト ホンダの技術ライセンス提供の窓口となるWebサイト(クリックでWebサイトへ移動)

 ホンダは四輪車や二輪車、パワープロダクツ、マリン、そして航空機など幅広く事業を展開しており、商品やサービスの開発だけでなく、将来に向けてさまざまな分野で研究を行っている。その中で生まれた技術やノウハウは特許化されており、グローバルで5万件以上になる。これらの技術は、強度や耐久性といった四輪車などに求められる過酷な条件をクリアしていることからさまざまな製品に適用できる可能性が高い。

 そこで、創業からの「技術は人のために」という考え方に基づいて、同社の技術やノウハウを幅広くさまざまな業種、領域で活用してもらい、より多くの人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供するため技術ライセンスを提供する活動を行ってきた。今回の技術ライセンス提供のためのWebサイト公開は、「生活の可能性が拡がる」新たな商品・サービス開発をさらに後押しするためのものだ。

ホンダの技術ライセンス提供とパートナー、最終ユーザーとなる顧客との関係性 ホンダの技術ライセンス提供とパートナー、最終ユーザーとなる顧客との関係性(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 公開した10の技術は以下の通り。

抗ウイルス・抗アレル物質布地「アレルクリーンプラス」

 付着したインフルエンザウイルスやアレル物質(ダニ・スギ花粉)を不活性化する加工剤を施した布地。活用イメージとしては、家具、事務用品、公共施設や交通機関の内装など、不特定多数が触れる製品への使用を挙げている。

 なお、「N-BOX」のシートに使われているアレルクリーンプラスはオフィス家具メーカーである内田洋行のオフィスチェアのクロスとして採用された実績がある。

アレルクリーンプラスファブテクト 「アレルクリーンプラス」(左)と「ファブテクト」(右)のイメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

撥水・撥油性の布地「ファブテクト」

 シート表皮に飲食物の汚れが浸み込みにくく、簡単にお手入れできる布地。活用イメージとしては、家具、飲食店の座席や内装、事務用品など、丸洗い洗濯ができない製品への使用を挙げている。

電機・水ポンプのエンジン排熱を利用した蒸留水生成装置

 発電機・水ポンプを運転しながら飲料水を生成することができる装置。活用イメージとしては、アフリカなどの飲料水へのアクセスが容易でない国でのニーズが見込まれるという。

蒸留水生成装置HyDコート 蒸留水生成装置(左)と「HyDコート」(右)のイメージ 出典:ホンダ

耐食性に優れた防錆皮膜「HyD(ハイディー)コート」

 六価クロムフリーの高耐食性、外観性に優れた樹脂コーティング(黒/銀)。活用イメージとしては、さまざまな種類のネジ、ボルト類、その他の金属加工品(鉄)への処理を挙げている。

高強度耐熱マグネシウム合金

 耐熱性に優れ、熱伝導率が汎用マグネシウム合金AZ91Dに対して約2倍。溶解作業中の難燃性も優れている。活用イメージとしては、自動車エンジン部品、トランスミッションケース、内外装部材、インバータ―・コンバーターなど電力変換機器ケースなどの部材への活用を想定している。

高強度耐熱マグネシウム合金着色メタリック樹脂 高強度耐熱マグネシウム合金(左)と着色メタリック樹脂(右)のイメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

ハイサイクル・外観性向上をかなえた着色メタリック樹脂

 短時間サイクルで成形可能かつ外観性の高い着色メタリック樹脂と、その成形技術。活用イメージとしては、家電、玩具、ガーデニング製品などでメタリック調の外観を適用したい樹脂製品を見込んでいる。

人が入れない場所に車を停める無人車両搬送ロボット

 車両の車輪を持ち上げて搬送を行うロボット。車両、施設自体が無人車両を移動させる機能を備えていない場合でも、無人の車両を移動させることができる。活用イメージとしては、駐車施設内での自動駐車・出庫(オートバレーパーキング)、非接触充電方式のEV(電気自動車)の計画充電、展示場での移動展示などがある。

無人車両搬送ロボットHARK 無人車両搬送ロボット(左)と「HARK」(右)のイメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

ロボット聴覚「HARK(ハーク)」

 複数音源を聞き分けることができる「ロボット聴覚」技術。活用イメージとしては、災害救助、受付ロボット、環境アセスメント(鳥類の生息確認)、その他音声認識機能を有する製品、サービスなどを挙げている。

マルチドメイン対話システムフレームワーク「HRiME(エイチライム)」

 単純な質疑応答(1つの問いに対して1つの答えを返す)ではなく、対話(複数回のやりとり)を行う自然言語処理技術。活用イメージとしては、ユーザー対応チャットbot、公共施設/交通機関の案内ロボット、その他ヒトと対話することを機能とする製品やサービスなどを見込んでいる。

 なお、HRiMEは、Nextremerのリモート接客システム「Remosis(リモシス)」に採用された実績がある。

HRiME摩擦撹拌接合 「HRiME」(左)と摩擦撹拌接合(右)のイメージ(クリックで拡大) 出典:ホンダ

接合技術 摩擦撹拌接合(FSW)

 摩擦熱と圧力によって鉄とアルミを接合する設備および接合手法。鉄とアルミの異材接合が求められる分野での活用をイメージしており、汎用多関節ロボットを用いた既存ラインで実現が可能としている。

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